イナズマ
□俺達の始まり。
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「おはよ、円堂くん。その、昨日は・・・」
学校に行く途中でヒロトに声を掛けられた。
昨日引っ越すという話を
聞いて思わず逃げ出してしまったんだ。
俺を心配しているのか眉毛がハの字になっている。
「はよっヒロト。昨日はごめんな、もう大丈夫だ。」
安心させるためににかっとヒロトに笑い掛ける。
「円堂くん。」
それでもヒロトは心配そうな顔のままだった。
「引っ越ししたって会いにきてくれるんだろ?」
「もちろんだよっ!」
「だろ??俺も会いに行くしさ。」
「円堂くん。」
ヒロトがやっとほっとしたような顔になる。
「昨日様子が変だったから心配したんだよ?」
「ごめん。もう大丈夫だから。」
「よかった。」
笑顔になったヒロト。
俺も安心する。
でもヒロトは昨日俺と立向の間にあったことを知らない。話す必要がある、けどいまじゃない。
「そういえば今日から、体育サッカーだね。」
知らずにいつものように笑顔で話すヒロト。
悪いことをしているつもりはなかったが、少し胸が痛かった。
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