忍びの卵達
□お昼寝
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「鉢屋せんぱい、こんにちわ〜」
「こんにちは、しんべヱ君」
(……癒しだなぁ)
私はにやけそうになるのをおさえながらしんべヱ君に笑顔を向ける。
そしてしんべヱ君をギューと抱き締めた。
餅の様にぷにぷにしていて柔らかくて抱き心地、最高だ。
食べてしまいたくなる……。
いつまでも抱き締めていたからか、はたまた人肌が良かったのか、しんべヱ君は私の腕の中でウトウトと眠りかけている。
しんべヱ君の体の温かさで私も眠くなってくる。
私は近くの木陰にしんべヱ君を寝かせ、自分も隣で眠りにつく。
「起きろよ、三郎っ!!」
「しんべヱも起きなよ」
「あれ、雷蔵どうした?」
「どうしたじゃないよ、授業サボって何してるのさ。しかも、しんべヱ君まで巻き込んで……」
もう、そんな時間になってたのか……。
私はともかくしんべヱ君には悪いことしたな。
隣を見るといまだしんべヱ君は眠っていた。
「しんべヱ、しんべヱ。早く起きてよ」
「う…ん、乱太郎?」
「しんべヱ、お昼の時間だよ?早く食堂に行こう?」
「お昼?授業は?」
「しんべヱ君、ごめん。授業の事、忘れてて……。眠くなったから木陰で一緒に寝てた」
「別にいいですよ〜。こんなことがあるなし関係なく授業中、寝ている事が多いんで……」
「……今度、勉強を教えてあげる」
「????」
しんべヱ君は不思議そうに私を見ながら食堂へ走っていった。
しんべヱ君の補習が多い訳がわかり、とっさにそう呟いていた。
しんべヱ君の補習が多いとなかなか二人で出掛けたりもできない。
それはとても寂しい。
私が教えれば二人でいられる時間が増える。
もしかしたら補習が減るかもしれない。
しんべヱ君だって別に頭が本当に悪い訳じゃない。
(熱を出した時なんかは凄く頭が良かったとは組の子達が言ってたし)
授業中に寝てしまうのはやはり興味がないからだろうし。
興味がわくように面白く教えて上げよう、しんべヱ君。
FIN.