忍びの卵達
□好きじゃないけど愛してる
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「留さん。補修、終わった?」
「あぁ、一通りは…な」
僕はトイペを補充し終えてから用具庫に立ち寄って留さんに訊ねた。留さんは金槌を持ってアヒルさんボートの頭を直していた。それは先日、僕が池に沈め壊してしまったものだった。
「留さん…ごめんね?アヒルさんボート、壊しちゃって」
「別に構わねぇよ。もともと壊れてたんだし」
壊したのが小平太とか文次郎なんかなら本気で怒るんだろうな…。僕に対しては「不運だしな」の一言で終わらせる。
留さんは優しいけど、ちょっとだけ不安にさせる。
「ねぇ、留さん。留さんは僕の事、好き?」
「そうだなぁ、好き…ではないな」
僕は泣きそうになった。留さんは僕の事を好きじゃないって言ったのだ。恋人になったのは僕が好きだと言ったから?それともただ、同情して恋人になってくれただけ?
留さんは優しいから断われなかったの?
「好きじゃねぇよ、愛してるんだからな」
FIN.
(呆れたよ、君の言葉。愛してるから好きじゃないとかさ)(好きと愛してるじゃ別だろう?)