忍びの卵達

□手
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死ネタ注意










仙ちゃんの手は私と違って凄く綺麗だ。
白くてスベスベの手。私はあの手で頭を撫でられるのが大好きだった。(たまにしか撫でてくれなかったけど)
でも、仙ちゃんはあんまり好きじゃないみたいだった。
今じゃ、聞くことも出来ないけど。仙ちゃん、何で死んじゃったのかな?

「小平太……」

長次の声がする。
私を探しに来たんだろうけど。今は長次に逢いたくない。

「小平太、見つけた……」
「1人にしてくれ…長次…」
「………暗くなる前に帰ってこい。この辺り…夜は冷える」
「わかった…」

長次は何時も通りの事を言って帰って行く。
勘の良い長次の事だから気をつかってくれたのだろう。長次の優しさは仙ちゃんと違った意味で心地好い。
……いつまでもくよくよしてたら仙ちゃんにらしくないって言われるかな。

「さてと、帰るか」
「小平太……」
「長次…帰ったんじゃ……」

長次は何も言わず、私の手を引いてくれた。仙ちゃんの手が1番好きだけど長次の手も2番目くらいに好きだなぁ、って思う。
私が学園に戻るとみんながいた。私の顔を見てとても安心した顔をしている者もいた。

「良かった……小平太が学園の何処にも居ないから仙蔵のあとをおって自殺でもしてるんじゃないかと心配したよ」
「……」
「そんな事しないって思っててもお前、仙蔵にゾッコンだったから絶対とはいえなかったからな」

出来ることならそうしたかった。
だけど、そんな事したら絶対、仙ちゃんに怒られる。
死んですぐに仙ちゃんに怒られるのは嫌だ。


死んですぐはあの大好きな手で「頑張ったな」ってほめて撫でて欲しいから。

FIN.

(仙ちゃん、撫でて)
(お前は本当に撫でられるのが好きだなぁ)
(私は仙ちゃんに撫でられるのが好きなんだぞ?)
(そうか……)
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