忍びの卵達

□口付け
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食満は俺の恋人だ。
付き合い始めたのは二ヵ月前。しかし、未だに喧嘩ばかりしている。

「文次郎、お前、食満と付き合ってるんだよな?」
「そうだな……」
「いつまでたっても喧嘩ばっかりしてたら今までと変わらないぞ?」

立花が呟く。
確かに潮江の方もそれは思っていたが今のままでも満足なので気にしていなかった。
それに食満も今のままでいいみたいだから良いと思っていた。
しかし、立花はそれでは不味いと思っているようだ。

「留三郎、話がある」
「なんだ?」

用具庫で用具の点検をしていた食満に話し掛ける潮江。
食満は一旦、手を止めて潮江の顔を見る。食満を見つめてから口をひらく。

「仙蔵にいわれたんだ。いつまでたっても喧嘩ばっかりしてたら駄目だって……だから」

潮江は食満に口付けする。
突然の事で固まる食満はだたが相手が潮江ということもあり抵抗はしなかった。
お互い口付けするのは付き合ってから十を数えるか位しかない。

「文次郎……」

口付けの後に潮江を見つめる食満。
潮江の方も食満を見つめており二人は見つめ合っていた。

「これからはあんまし喧嘩は無しにしよう」

潮江は食満に呟き、もう一度口付けする。
お互い好きあっているのだから拒む理由は食満にはなかった。
それに潮江の口付けはとても優しく、とても甘い。そんな口付けを拒む事など誰が出来ようか。食満はすぐに潮江のする口付けの虜になった。

「もっとしろよ、文次郎……」
「……お前、口付けが好きだったんだな」

食満からねだられて潮江はまた口付けする。
今度は永く口付けていた。

「文次郎とする口付けは好きだな。優しくて甘い……」

食満はうっとりとした瞳で潮江を見つめる。
これからは喧嘩も少しは減る、そう文次郎は思った。
しかし、その様子をずっと見ていた者がいたことに二人は気づかなかった。

FIN.

(用具庫で潮江先輩と食満先輩が口付けしてます)
(えっ!?)
(後輩を呼んでいたのを忘れてるんじゃないですか?)
(これじゃあ、仕事が出来ねぇじゃねぇか!!)
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