忍びの卵達

□健康第一だよ
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「へっくしょん!!」

授業中、大きなくしゃみをした五年ろ組の鉢屋三郎。

「……三郎、大丈夫?顔色が良くないよ?」

そんな鉢屋を心配そうに見つめる不破雷蔵。

授業をしていた教師が鉢屋に近づき額に手を当てる

「熱があるな…。医務室、行くか?」

鉢屋はボーとする頭で少し考えてから小さく頷く。

「僕、三郎を医務室まで送って来ます」

「そうか?なら不破、頼んだぞ?」

不破は頷いて鉢屋を立たせる。

「歩けそう?無理ならおぶるけど……」

「大丈夫だ……」

「そう?なら良いけど…」

「……雷蔵、迷惑かけてごめん」

「迷惑なんかじゃないから謝るなよ」

「ありがとう、雷蔵」

「気にしなくてもいいよ」

不破は鉢屋の体を支えながら優しく微笑んだ。

「医務室に善法寺先輩がいたら僕、授業に戻るね」

「新野先生だけならそのままいるつもりかい?」

「そうだよ」





2人が医務室に行くと保健委員長の善法寺伊作が薬研で何かの薬を作っていた。

「善法寺先輩、三郎が体調不良みたいなので診ていただけませんか?」

善法寺は不破に支えられながらやって来た鉢屋を見つめて

「鉢屋、だから休めって言ったのに…」

「………」

気まずそうに視線をそらす鉢屋。

「不破、君は授業に戻っていいよ。鉢屋は僕が診てるから」

不破は医務室から出ていく。

不破が医務室から出ていくと善法寺は鉢屋を見つめ溜め息をつく。

「風邪気味なのに授業に行くから悪くなったんだよ?」

「すみません(謝罪)」

「僕は行かないでくれって言ったのに……。それなのに……」

涙目になっていく善法寺を見て

「すみません、先輩の言う通りにして…れば……」

「熱が上がってる……。鉢屋、何か食べられそう?」

「無理。今、食べたら確実に吐く……」

「(ニヤ)それじゃあ、薬が飲めないね」

「先輩……?」

「なら、座薬しかないね」

「えぇっ!?」

「薬が飲めないなら仕方ないでしょ」

善法寺は座薬を手に持ち、満面の笑みを浮かべながら鉢屋に近づいていく。

「鉢屋は僕の事、嫌い?」

「……好きですよ?もちろん」

「だったらいいよね?ざ・や・く」

「……はい」

「じゃあ、入れるね?(プス)」

「………」

鉢屋は嫌がっていたわりに早めに諦めて善法寺が座薬を入れている間じっとしていた。

「これで良し。熱は明日の朝には下がってる筈だよ」

「ありがとうございます……」

「恋人の熱、冷ますためにしたんだから感謝しなくてもいいよ。感謝より早く元気になってくれ」

「……早く元気になりますよ。この座薬、善法寺先輩が作ったやつでしょう?効かないわけありません」

「あはは、そうだね」

「そうです(断言)」

「……少し眠りなよ。適当な時間に起こしてあげるから、ね?」
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