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□休日にはキミと…。
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ある晴れた日曜日の午後彼はボクに言った。
『相棒、買い物に行こうぜ!』
「買い物?珍しいね、キミから外に行こうって言うなんて。カード屋にでも行くの?」
新しいパック出たっけ?ボクは記憶から必死にその情報を得ようと考えた。
『違うぜ。』
「……?じゃあどこに行くの?」
『ついて来れば分かるぜ!』
その時のもうひとりのボクは何か企んでいるような笑みを浮かべていた。
街を歩いていると急にもうひとりのボクが立ち止まった。
どうやら目的地に着いたらしい。
「あれ?こんな所にお店なんてあったっけ…?」
確か少し前までは何もない空き地だったはず。
でも今は服屋が建っている。
『実はここオープンしたばかりの店なんだ。この間、相棒とチェンジした時に見つけたんだぜ!』
へぇ。この道ってあんまり通らないから知らなかった。
って、ボクが6現目の数学でダウンした時に遠回りして帰ってたんだ!
『さぁ、相棒入ろうぜ!』
「う……うん!」
ボクは店の中に入って驚いた。
シルバーをはじめとするいわゆる“カッコイイ”グッズが所狭しと置かれていた。
こういうカッコイイものって好きだけど、顔が童顔のせいで似合わない。もうひとりのボクにすごく似合うが羨ましいよ。そこで一つボクは疑問を持った。
「ねぇ、もうひとりのボク。何でいきなりこんなお店に来たの?」
『あぁ、それは相棒がいつもこんな店の前を通るだひに横目で見ては溜め息を付いていたからな。だから行きたいのかと思って、今日来たんだか……。迷惑だったか?』
何気に観察されてたんだね、ボクって。
「迷惑じゃないよ。でもボクに似合うものなんてないよ?」
周りをザッと見渡しても有るのはもうひとりのボクに似合いそうなものばかりだ。
『そんなこと無いさ!』
そう言ってもうひとりのボクは店の奥へと歩を進める。
入り口付近はボクには似合わないって断言できるものばかりだった。
だけど、奥に行けば割とシンプルでボクにも似合うようなものがあった。
『な?ちゃんと有っただろ?格好良くて相棒に似合うもの。』
と笑いながら話すもうひとりのボク。
きっと、この間お店に入ってたんだね。じゃないとさっきみたいに断言出来ないもん。
それからしばらく店内を見て回っていたら、彼が良いものを見つけたと言ってボクを呼んだ。
それは黒色でシンプルな服と靴だった。
「わぁ…!カッコイイね、靴とか特に!」
『だろう?どちらが表に出ていても違和感がない。それに何より相棒に似合う。』
どうだ?と聞いてくるもうひとりのボク。
もちろん、答えは決まっている!
「ありがとう、もうひとりのボク!ボクのために選んでくれたんだね。嬉しいよ。」
次の日からもうひとりのボクが選んでくれた服を着て学校に行った。
初めはちょっと恥ずかしかったけど、みんながよく似合ってるって言ってくれたんだ。
本当にありがとう!もうひとりのボク。