gift
□有限の時間の中で
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今日はもうひとりのボクと花火大会に行くんだ!この日のためにじいちゃんに頼み込んで浴衣買ってもらった。すっごく楽しみ!
はっ、と気づくと約束の時間の30分前。急がないとヤバい。しかもまだ浴衣に着替えてない…。ボクは慌ててじいちゃんに着付けをしてもらう。
「ねぇじいちゃん!ボク変な所ないよね?!」
「あぁ大丈夫じゃ。似合ってるぞ!」
じいちゃんにはそう言われたけどもう一度鏡で入念にチェックする。
「じゃ行ってきまーす。」
下駄を鳴らしてもうひとりのボクとの待ち合わせ場所へと急ぐ。
あぁ、浴衣って走りにくい…。
待ち合わせ場所には既にもうひとりのボクは来ていた。当たり前だよ、10分も過ぎてるんだから。
あ、もうひとりのボクも浴衣なんだ…。なんかいつもと雰囲気が違う…。はわわわ、顔があついよーっ!
とりあえず深呼吸をして落ち着く。
「もうひとりのボク、ごめん遅くなっちゃって!」
「いや、構わないさ。花火まではまだ時間あるしな。夜店見るんだろ?」
「うん!」
手を差し出してくる彼。それに応えるボク。こんなちょっとした事にもドキドキしてしまう。嬉しくてたまらないんだ。
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