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□序章
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「初めて会った気がしない」
「ああ。俺もだ」
そう、俺たちは以前にも出会っていた。
百合が一面に咲き誇る丘。どこまでも澄み渡った青空。それをうつし込んだ、底が見えるほど美しい海。
今は記憶の果てに消え去った、美しい世界。
「お前は誰だ!」
交わる、紅の花。染まりゆく純粋。
遥か遠い記憶の最果て。
「俺は――。」
狂気に歪んだ顔を向ける、眼前の男。そこに嘗ての面影は見えない。
あるのは、ひとつの意志。どこかで誰かが笑った。
そして回りだす、運命の輪。
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ぼんやりと考えている、長編の序章的な何か
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