GX
□Merry Christmas
1ページ/2ページ
「メリークリスマス、覇王!」
二人きりのレッド寮の一室。小さな折りたたみ式のテーブルの上に並べられた料理の数々。向かい合って座る俺こと覇王と十代。
「メリークリスマス。しかしこの料理はどこから調達してきたのだ?」
うーん…と首を傾げながら答える十代。
「俺が翔や明日香達に『覇王と一緒にクリスマスパーティーしたいんだけど、どこで買えばいいんだ?』て聞いたのな。そしたら今日くれた」
成る程な。嫉妬に顔を歪めながらも、十代のために料理を作る奴らの顔が浮かぶ。
「そうか。しかし何故クリスマスパーティーをしようなどと考えたのだ。クリスマスとはキリストの誕生日を祝う日だろう?俺らにはあまり関係が無いと思うのだが」
「俺は覇王と違って難しいこと分かんないけどさ、世間一般では恋人達にとって大切な日だろう?だから俺も覇王と一緒になんかしたかったんだ!」
ニコッと純粋な笑みを浮かべる十代。それにつられて俺も微かに微笑む。
「あ、覇王が笑ってる。かわいい」
「五月蝿い。可愛いのは十代だ。」
そんな事ないぜ、と笑う十代。俺にはその笑顔が眩しいのだ。それと同時に愛しくてしようがない。だから守りたいのだ。
十代がスッとシャンメリーの入ったグラスを掲げる。俺もそれに倣う。
カチンと鳴るグラスの音。
「「Merry Christmas」」
→あとがき