GX
□代償
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俺は何が悲しかったんだ?何に対して怒りの感情を持っていたんだ?
此処は何処なんだ?
何でこんな所に居るんだ?
俺は…
「俺は誰だ…?」
全てが分からない解らないワカラナイ。
分かる事といえば、喪失感や怒りと言った負の感情とデュエルの事だけ。
気が付けば荒野でひとり突っ立っていた。仲間がいたのかどうかさえ俺には分からない。思い出そうとしても思い出せない。思い出したくもない。
俺は何故だか分からないがこの世界が憎い。怨めしい。
止めどなく沸き上がってくるモノは怒りと憎しみ。思い出そうとすればするほどにそれらの感情は更に膨れ上がってゆく。
「俺は誰だ。何のために此処に居る。何故この世界が憎い。」
呟いた声に返事は無い筈。なのに何処からか声が聞こえてきた。
「あなた様はこの世界を統べる王で御座います」
先程までは気配が無かった筈の背後に気配を感じる。気がつくと俺はモンスターに囲まれていた。
覇王様、と口々に呼ぶと同時に膝を折り忠誠を誓う。
「覇王だと…?」
「はい。それがあなた様の御名前で御座います。あなた様はその絶対的な力を完成させ、この世界の王となるべく存在するお方」
ふっと手を見ると絵柄のない白いカードが握られていた。
「……超融合」
無意識の内に呟いていた。
「さように御座います。それこそあなた様のお力の象徴。」
ニタリと笑うモンスター。
「この世界が憎いのでしょう?ならばその絶対的な力で征服すればいいだけの話。憎き者達に復讐を。覇王様を苦しめた愚か者たちに裁きを」
嗚呼俺はこの理不尽な世界を統べる為にここに居るのか。
記憶と引き換えに得たものは何者にも負けない絶対的な力。記憶なんていらない。そんなもの、所詮は今の自分を縛るだけのモノでしかない。自分で自分を苦しめているだけだ。
さぁ俺を苦しめた世界に復讐を始めよう
→後書き