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□全ては王の意のままに
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「…何故そんなに怯えている?」
「俺が…皆を殺した。沢山の命を奪った…」
細い肩を震わせながら、犯した罪に怯え何度も何度も同じ言葉を繰り返す。
「俺が…俺が…ッ!!」
「大丈夫だ、十代」
そう言いながらキュッと抱き締める。闇に閉じ籠っている彼の体温は冷たい。
「この世界の王は俺達だ。この世界の法を作るのも俺達。だからここでは人殺しは罪ではない」
だから安心しろ。
本当は、人の命を弄べる存在になって嬉しかったのだろう?
勝手に過度な期待を寄せる彼らに嫌気をさしていたのだろう?その期待に必死に応えていたのに責められて理不尽な思いをしていたのだろう?
剣で、デュエルでその魂を貫く度に沸き上がる高揚感があったのだろう?
だが、殺人は人が最も犯してはならない事。楽しんではいけない。
だから苦しかったのだろう。ならば、許そう。
ここは俺達の世界なのだから。
→後書き