GX
□肯定or否定?
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「なぁ、覇王、お前あれ以来表に出て来ないけどこんな暗い所にひとりでいて寂しくないのか?」
あれ、とは異世界の時のことだろう。
「寂しい?何故だ。俺は元来ひとりだ。闇の中にずっといた」
「そんなこと言うなよ…。お前は俺なんだろう?ちょっとだけでも表に出てみろよ。みんなももう許してるはずだぜ?」
「そんな訳ないだろう」
「なら…」
強制的に意識が入れ替わる。目を開けると其処には十代の仲間達がいた。俺が嘗て苦しめた奴らだ。
「お前が覇王か」と淡々と話す万丈目。
あぁ、と短く答える。俺がお前らを苦しめた覇王だ。
「十代くんから粗方は聞いているよ。僕らが消えた後の話は」と天上院吹雪。
「…すまなかった」
小さな声で覇王が謝罪した。仲間達の反応は…
「許せるわけ無いじゃない」
ピシャリと言い放つ明日香。
ふっ、だろうな。俺は人殺しだ。両の手でも足りない程、殺してきた。許してもらおうなど最初から考えてなどいない。目を閉じ、十代と意識を交替させようとした。
だけど、と明日香が続ける。その言葉により再び目を開く。
「あなたは十代を守りたかった。だからあんな事をしたのよね?」
「…どうだろうな」
ふっと覇王の雰囲気が柔らかくなる。それだけ十代のことを大切に思っているのだろう。
「大丈夫よ。私たちはあなたをもう否定しないわ。覇王も十代の一部、でしょう?」
「……いいのか?」
「俺なんかが此処にいてもいいのか?」
いつものあの力強い口調ではなく、弱々しい。金の瞳は微かに揺れている。
「ええ。あなたは覇王という名を持っているけど十代であることに変わりないんだから」
ありがとう、と覇王にしては珍しく微かに微笑んだ。
(な、大丈夫だっただろ?)
(ああ。だが、明日香やヨハンは邪魔だな…)
(ん、何か言ったか?)
(いや、何でもない)
→後書き