GX
□闇の囁き
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「俺に足りない物って何なんだ!どんな状況でもみんなの期待に応えてきた!デュエリストが背負うべき物?!一体何だ…」
「お前に足りない物、それは闇だ」
「闇……?お、お前は誰だ!」
背後から声がした。低く、感情の込もっていない声。勢い良く振り返るとそこには
「俺?!」
自分が立っていた。
一見良く似ているが、少しずつ違う。冷たい氷のような金色の目、誰もが平伏してしまうような圧倒的な雰囲気。何の感情も読み取ることが出来ない表情。
「俺は覇王。闇を統べる者だ。そして、もう1人のお前」
「覇王…」
「今のお前は進むことも戻ることも出来ない窮境に陥っている。力を欲せよ」
「…っ!」
「俺の名を呼べ。力を欲せ。何者にも負けない力を!」
その声に力が入る。先程の淡々と語る口調ではない。
俺はひとりで暴走して、仲間達のことを考えずに行動した結果、殺してしまった。もう誰も俺の側にいない。ならもう、こんな世界……。
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