企画モノ

□こんな兄弟はいかがでしょう?
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「十代、ハンカチは持ったか?」

「持ったぜ」

「ティッシュは?」

「持ってる!!もー、覇王はいつもそうやって…」


今日も朝から遊城家は賑やか。
近所でも名物、双子の兄弟のやり取りが繰り広げられています。双子といっても兄は弟より冷静沈着、頭脳明晰。弟は天真爛漫、成績も後ろから数えた方が断然早いという具合です。


このふたりが有名なのは双子だから、というだけではありません。覇王は十代の事が大好きで仕方がないのです。普段は無表情な彼が弟の前だけでは満面の笑みを浮かべるのですから。その溺愛っぷりが更に彼らを有名にしたのです。


「行くか」

「おう!」


玄関を開け、まだ少しひんやりとした空気の中を歩きます。

ふたりは同じ高校に通っています。覇王が十代に合わせてレベルを下げたのです。十代はその事で少し責任を感じているようですが、彼も覇王の事が大好きで仕方がないので、嬉しさの方が強いみたいです。


覇王のクラスと十代のクラスは棟が違うため必然的に離れてしまいます。十代の教室までついていき、予鈴までふたりべったりしています。最早クラス全員公認のバカップル。

兄弟や同性という理由で馬鹿にするやつは片っ端から覇王が病院送りにしてきました。それにこのクラスには所謂腐女子というやつが多いのです。密やかに可愛いやらなにやら話しているようです。



予鈴が鳴りました。


「では名残惜しいが体育の授業でな」

「おう、またな!」


そうして別れ際に頬にひとつキスをして去っていきました。毎度の事なのに未だに慣れない十代は赤面。周囲からは叫び声。


「アニキー朝っぱらからラブラブっスね」

「し、翔!!」

「フン、やるなら余所でやれ」


実はこの二人も密かに十代に心を寄せていますが、覇王が恐ろしくて手が出せないのです。あの冷たい金色の目で睨まれると足がすくみます。まさしく蛇に睨まれた蛙状態。


覇王が居なくなったらここぞとばかりに十代に引っ付きます。



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