創造なる語

□3333Hit御礼小説
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『だからごめんってー!ってあれ?才蔵って根に持つ性格だっけ?』
『・・・誰のせいだと思っとる誰せいだと。』

はぁあ・・・とこれまでにない深い溜息をついた。こんな軽い男の看病をしている自分が馬鹿馬鹿しいと思い始めてしまう。

『あははー。嘘嘘ー・・・』

佐助の異変に気付く才蔵。さっきよりも熱が上がっている気がした。思わず佐助の額に手を当てる。

『熱ッ!!佐助お前熱上がってるじゃないか!さっさと寝ろ!』
『嫌だ』

また来た。拒否。
才蔵が言ったことはたいてい嫌の一点張りなのは承知で、それが日常茶飯事なのだ。

『今日ぐらいは俺の言う事を聞けっ!』

その瞬間。何故か才蔵は瞳が潤んでいたらしい。佐助はギョッとして才蔵を見る。

『え、ちょ、何で才蔵が泣いちゃってるのッ!?』
『泣いてなんかいない!』

しかし言葉とは裏腹に容赦なく目から雫が落ちる。その事を佐助よりも才蔵本人が驚いた。何故泣いているのか自分でもわからない。









わ か ら な い ?
違う。
この涙は・・・


『才蔵・・・』


答えが出る前に、佐助は上半身だけ起き上がって、ふわりと才蔵を抱きしめた。壊れないように。優しく。

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