創造なる語
□2222Hit御礼小説
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『才蔵!稽古の相手になってくれぬか!』
『わかりましたよ幸村様。』
俺の主。真田幸村は戦がない日は決まって鍛練をする。そして素振りだけでは物足りず、人を誘うのが日常だった。
俺−霧隠才蔵はそれはこの退屈な日常の中一つの楽しみであった。
俺は幸村様の事が好きだった・・・否、現在も幸村様の事が好きだ。
一緒に過ごした数だけ好きだという感情が増していく。
『はっ!とりゃっ!』
『よっと・・・幸村様詰めが甘いですよ!』
『むむむ・・・これでどうだっ!』
幸村が動くたびに白い柔肌がちらちらと上着から覗き、女子の髪のような艶やかな栗色の毛が揺らぐ。
『わわっ!・・・やりますね幸村様。今度はこちらの番ですよ!』
『ぅぎゃっ!うぅ・・・まだまだぁ!』
いつもと変わらない日常。いつまでもこうやってしていても飽きない。
『旦那ー?』
幸村を呼ぶ声に幸村は槍を降ろした。
『あ、ここにいたんだ旦那♪』
『佐助!』
幸村を呼んだ声の主。
猿飛佐助。
彼は才蔵よりも幸村といる時間が長く兄弟・・・もしくは親子のような関係になっている。
『さッ!すッ!けッ!』
『どわぁっ!』
稽古を途中で放り出し佐助に抱き着く幸村に佐助は躊躇う。佐助の姿を見れば必ず幸村はどんな事をしていようがすっ飛んで行ってしまうぐらいだ。
そう、どんな事をしていようが。