絶望部屋 参
□嫉妬
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こんな気持ちは知らないんです。
貴方への思いを隠して過ごした。
あっさり暴かれて絶望すれば、「だって僕も同じ気持ちだから」と予想しなかった全肯定。
そうして、二人。
誰に知られることなく密やかにゆっくりと、しかし確実に互いの感情を確かめ、強固なものとしてきた。
お互い、相手がそこにいればそれでいいとでも言わんばかりに。
その筈なのに。
(何故貴方は笑うのですか)
(私ではない、貴方を思ってすらいない人の前で、私に対する笑顔を向けるのは何故ですか)
見るに耐えない己の感情。
彼に関わったせいで、私は私に絶望することが増えた。
ほら、今だって。
はにかんで笑うあの表情を見れるのは、私だけの特権である筈なのに。
(誰も彼を見ないでください!)
それは醜き独占欲。
終