short
□生徒
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コンコンッ
「はい……。」
私は採点をしていた手を止め、ドアの方を向いた。
「先生……ちょっと良いですか…?」
ノートを持った男子生徒が入ってきた。
彼の名前は相模尚人(さがみなおと)。
容姿端麗で秀才、運動神経抜群の文句1つない完璧な少年である。
「何か用ですか…?」
私はペンを置き、テスト用紙を机の中にしまった。
「ちょっと分からないところがあって……。教えて欲しいんですが…。」
「良いけど……今からだと、下校時間まで30分くらいしかないわよ…?」
私は壁にかかっている時計を見た。
「良いんです……どうしても今日が良いので……。」
「…分かったわ。…それで、どこが分からないの?」
私は隣に来るように、隣の椅子をひいた。
「…ありがとうございます。」
カチャ…
英語準備室の鍵がしめられた音がした。
「鍵閉める必要あるの…?」
「静かにやりたいし、邪魔されては困りますから…。」
相模は隣の机の上にノートを広げた。
「……なんだ。全部出来てるじゃない。」
私は相模のノートを見て英文をチェックした。
「…違うんです…。僕が分からないのは……。」