short

□生徒
1ページ/4ページ


コンコンッ


「はい……。」


私は採点をしていた手を止め、ドアの方を向いた。


「先生……ちょっと良いですか…?」


ノートを持った男子生徒が入ってきた。
彼の名前は相模尚人(さがみなおと)。
容姿端麗で秀才、運動神経抜群の文句1つない完璧な少年である。


「何か用ですか…?」


私はペンを置き、テスト用紙を机の中にしまった。


「ちょっと分からないところがあって……。教えて欲しいんですが…。」


「良いけど……今からだと、下校時間まで30分くらいしかないわよ…?」


私は壁にかかっている時計を見た。


「良いんです……どうしても今日が良いので……。」


「…分かったわ。…それで、どこが分からないの?」


私は隣に来るように、隣の椅子をひいた。


「…ありがとうございます。」


カチャ…


英語準備室の鍵がしめられた音がした。


「鍵閉める必要あるの…?」


「静かにやりたいし、邪魔されては困りますから…。」


相模は隣の机の上にノートを広げた。


「……なんだ。全部出来てるじゃない。」


私は相模のノートを見て英文をチェックした。


「…違うんです…。僕が分からないのは……。」

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ