お、祭れ!部屋・裏

□大戦『触れたい熱』
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この行為は、お互いの存在を確認する…いわば儀式のようなものなのかもしれない。
夜の闇が、辺りのものを残らず覆い隠す。
目に映るのはただ一つ、闇。
暗く、冷たい。
その中に身を浸す。
聞こえるのは、声。
荒く、意味を成さん言葉。
それが自身の口から零れ落ちているという事実を、私は理解する。
そう。この声は、言葉は。

「…どう、した…?」

絶え絶えの息をなんとか落ち着かせ、問う声に閉じていた目を開く。
闇の向こうに僅かに見える光。
川底に沈んだ金を見つけたようで。
私は重い手を伸ばす。

「…こら、答えんか…」

伸ばした手を掴み、咎めるような声を降らせる。
ぎゅっと、握られた手の熱さに私はただ、笑う。

「暖かいねぇ…」
「は?」
「寒かったんだよ」

私の言葉に、雛はそんなことかとため息をついて。

「これで、どうだ…?」
「っ…」

細い腕に持てるすべての力を込め、雛は私の身体を抱き起こして胸の中に収める。
繋がったままの行為。
より深い場所に雛の熱を感じて息を詰める。
苦しい…でも寒くはない。
背中に回された手が、少し震えていて、私はおかしくてまた笑った。




「それで、本当は何だったんだ」

開け放たれた窓から射す月明かりを浴びながら、雛が憮然とした顔で再び問いかける。
冷たい月明かりを受けて輝く雛の銀糸を遠く眺めて、私は手にした酒をぐっと煽る。

「さぁて、何だったかな」
「とぼけるでない!はっきり言わぬか気持ち悪い」

何もそこまで言わなくともいいではないか。
と少し拗ねて見せるがやはり気持ち悪がられて終わる。
私は…じっと雛を、ホウ統を見つめて。

「愛しとるよ」

にこり。笑って告げた言葉は結局、酔っ払いの戯言かと叱られてしまった。



■■■
まさに我得な話。武将同士だと庶っちは淡泊なホウ統に少し甘えたいのです。
軍師だと彼が甘えたがりなので…いやぁ、それにしても素晴らしいイラストに我大得。
 

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