お、祭れ!部屋・裏

□大戦『重ねた手と手』
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重ねた手のひらは思いの他冷たく。
ぎゅっと力をこめれば、一瞬ぎくりとして返される抱擁に私は笑う。
この方は不器用だ。
それでいてとてもまっすぐな。
くすぐったい正直な想いを彼からたくさんもらったなぁ。
ここまでくるのにずいぶんと時は経ち、いくつか歳を重ねた。

「…緊張、してますか?」

不意に、抱き締める力を緩めて楽進が問う。
熱っぽい瞳を見返し、少しだけと答えて私は苦笑を浮かべる。

「…心臓が…飛び出しそうなくらいです」

掴んだ楽進の手のひらを自分の左胸にあてる。
トクトクと、早鐘のように鳴るこの鼓動が伝わっただろうか?
ね?と小首を傾げて見せる。
と、急に楽進の赤い顔が近付いてきて…噛み付くように唇を奪われる。
性急な動きに、私はついていけずただただ翻弄される。

「ん…ふっ…」

絡み合う互いの身体と熱。
何が起きても、常に先を考えている私の脳は半ばその機能を停止している。
何も、考えられない。
激しく求められている…それしか今の私には理解できなかった。

「荀攸…殿…」
「『殿』は、いらないよ…楽進…」

呼吸すら奪われ、自然と荒くなった息の間から私は告げる。
一瞬目を丸くして、楽進は覇気のあるいい返事をする。
暖かい瞳の中に私を映して。
私より幾分か大きな手を頬に添えて。

「荀攸…貴方が好きです」
「うん。私も貴方が好きです」

二度目の彼の告白に、私は静かに頷いた。
これからは、貴方と共に時を刻みたい。
私に人を愛する気持ちを教えてくれた貴方と共に。
それは…とても幸せな時間。





■■■
もはやなにも言うことはありません。
素晴らしい楽攸イラストに我得!
この2人は一緒にいられるだけで幸せなのです。

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