狼と猫

戦争
1ページ/3ページ




偶然見たチャンネルで放送していた紛争映画。

はやとさん、つまり旦那さんが似たような仕事をしている為、最後まで見てた。

はやとさんは日頃、どんな風に敵と立ち向かうのかが知りたかった。


「…うぅ…っ…!」


最後には勝ち目が無いと分かった軍が(残り10数名)バスの中で自殺する…という内容。


…当然、ハルの目からは涙が止まらなくて、

「…は、はやとさんもこんなことを…」

そんな…あんまりですよ、はやとさん。

人の命を奪う仕事なんて…何でそんな仕事に就いたんですか、



あなただって殺されるかも、しれないのに。




がちゃり、とドアが開く音。


「ただいま…って…おい、何で泣いてんだよ、」


はやとさんが驚いたようにハルに駆け寄ります。

そんな彼はというと、頬から血が流れてて、スーツはボロボロで、

「…は、はやとさん、…。今日も‥怪我‥」


傷だらけの顔に目をやる。

‥痛い、ですよね。



「…ああ、でも対したことねえ」

だからそんな顔すんな、と眉を下げて呟くはやとさん。

そんな悲しい顔、しないで。



傷を隠そうと顔を背ける彼。

なんだか急に寂しくなって、ハルは抱きつきました。

ふわりと香る火薬のにおい。

きっとこれは、戦場の、におい。


「はやとさん…っ、マフィアなんて辞めて、下さい」

「…おい、誰かに何か言われたのか」

焦る彼に、ハルは首を横に振ります。


「こんな危険な事…だめです…死んじゃう、かもしれないのに」

「……」

彼からの返事は無くて、ただ抱き締められるだけだった。


なんで、わかった って言ってくれないんですか、

なんで、ハルを置いて行こうと、するんですか、

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ