Teaching

□中間休み
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−すみれ15歳

私には萩原研二君っていう少しだけ歳の離れた従兄がいる。小さい頃いくら私がつんけんしても構わず構い倒してくるもんだから、ついにこちらが折れ結果私を懐かせてしまった強者である。性格矯正された今ではこっちから甘えまくっている。研二君は嬉しいようなので今度何かおねだりでもしようか、なんて。
今日はそんな研二君の実家に親戚から送られてきたりんごのおすそ分けをしにやって来た。

「こんにちはー。」
「いらっしゃいすみれちゃん。今研二が松田さんと来てるのよ。部屋にいるわよ。」
「陣平君も来てるの!?あ、これおすそ分けのりんごです!」
「ありがとう重かったでしょ?後で剥いて持ってくわね。」
「ありがとうございます!お邪魔しまーす!」

松田陣平君。研二君の親友で同じ爆発物処理班の仲間である。この2人はエースなんて呼ばれててなんだか誇らしい。ちなみに、この2人にせんせーの事を聞こうとは思わなかった。せんせーは自分で見つけたい…というのは実は建前で、自他共に認めるシスコン研二君にせんせーの事話したら絶対邪魔するから。陣平君も私を可愛がってくれてて、この2人は最早セコムとして成り立ってるんじゃないかな…。

「研二君陣平君こんにちは!」
「すみれー!」
「よぉすみれ。」

私を見た研二君はこっちへ来いと言わんばかりに腕を広げる。いつもの事なのでそこへ飛び込むとぎゅっと抱きしめにこにこと花を飛ばす研二君。

「あぁ〜癒される…もっさい男連中に囲まれて汚れた心が洗われてく…。」
「あはは…お疲れ様。陣平君もお疲れ様。」
「さんきゅ。」

労いの言葉をかけると研二君は一層腕に力を入れ(潰さないようにちゃんと加減してくれている)陣平君は頭をぽんぽんと撫でてくる。研二君が満足し私を離した所で何をやっていたのかと部屋を見渡すと写真があちらこちらに散らばっていた。

「写真の整理?」
「今度友人が結婚するっていうんでよ。披露宴で使う写真何かないかって言われてな。」
「んで俺は萩原に写真整理してないからごっちゃなってて探すの大変だから助けてくれって事で来たって訳だ。」
「ふーん。あ、ほんとだ。警察なってからの写真もあればランドセル背負ってるのもある。…あれ?私と写ってるのはないね?小さい頃はしょっちゅう一緒に撮ってたよね?」
「可愛いすみれとの写真は大切にアルバムにしまってある。」
「…だったら他の写真もアルバムにしまっとけよ。」

呆れる陣平君にもう何も言うまいという私。その後伯母さんが剥いたりんごを持ってきてくれ、それを片手に私はとりあえず写真を年代別に仕分ける。そこで私は研二君と陣平君が褐色肌金髪イケメンと仲良さそうに写ってる写真を見つける。

「ねーねーこれ誰?ってか他にも仲良い人いたなら紹介してよ。」
「ん?あぁそいつは降谷零っつって、松田を通じて知り合った首席サマだ。今どこで何してるかは知らないから紹介はできないけど。」
「何それ。連絡とか取ってないの?」
「それが連絡取れねぇんだよ。あいつが警察庁行ったのは知ってるから、まぁなんとなく理由は予想はしてるけどな。」
「理由って?」
「いろいろ忙しいって事だ。」

なんか流された気がするけど私には関係ないしいっか。もう1度写真を見てそしてそれを19歳〜の所へと置いた。

「そーだ研二君。この前伯母さんに聞いたよ?なんかかっこつけて防護服最後までちゃんと着ないで解体とかしてんだって?」
「かっこつけてるって誰だそんな事言った奴は。誤解だ誤解。あれくっそ重いし暑苦しいんだよ。あんなん着てられっか。松田もそう思うだろ?」
「まぁわからないでもないが。」
「そういう問題じゃない。はぁ…優秀なのは知ってるけど何があるかわかんないんだよ?もしかしたらタイマーが復活したーなんて事あるかもしれないんだから。ただでさえ危険な仕事なんだから伯母さんはもちろん私だって心配してんの。」
「すみれが俺の心配を…!」
「萩原歪みねェ。」
「…そうそう心配してんの。死んだら困るの私泣いちゃうの。だから今度から解体中は嫌でもフル装備解かない事。なんか盾みたいなのとかあるでしょ?よく知らないけどそういうの傍に準備しといても損なんかしないんじゃない?陣平君もだからね?じゃないと口聞かないから。」
「それは困る…!わかった!すみれに嫌われたくないからちゃんとする!」

嫌いになるとまでは言ってないが効果覿面だからまぁよしとするか。陣平君もとばっちりを受けたなと言いつつも頷いてくれる。これが研二君の生死の分け目となる訳だが、この時は露程も知らないのである。
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