短編

□ローとうさぎ
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私はウサギ
ヒトの言葉がわかる少し賢いウサギだ

私が傷だらけで瀕死の状態の時にたまたま見つけてくれて手当てしてもらったのがきっかけでこの船に乗ることになった

私はしゃべることはできないが言葉は理解できると知ったローは
紙にアルファベットを書きそれを指(私の場合はほぼ手の平だが)で差して私でも会話できるようにしてくれた


そんな私は今ローの膝の上である



『ぷぅ(ねぇロー)』

ロ「なんだ?」



そう言ってローは例のアルファベット表を私の前に出してくれた



『“私、人間になりたい”』

「どうしてだ?」

『“ローが好きだから”』



そう、私はローが好き
仲間とかそういうのじゃなくて異性として好きなのだ
でも私はウサギ
所詮叶わない夢だとわかっている



「......少し時間をくれ」

『?』



ローの言った意味がよくわからなかったがそれは1週間も経たない内に知ることになる


ある日敵襲があり見事ハートの海賊団が勝利した日のこと
ローは見知らぬ女の子を抱えて部屋へと戻ってきた



『ぷぅ?(誰?)』

「ん?コレか?敵船にいた女クルーだ...まぁ見てろ」



そう言うや否やローは女の子をベッドに降ろし私をその横へ移動させた
そして刀を取り出す、と



「“ROOM”...“シャンブルズ”」



一瞬の出来事だった
刀を振り下ろされとっさに目をつぶったが一向に痛みがこず
不思議に思い目を開けると天井が見えた
...あれ?おかしいな
横になった覚えはないんだが



「どこか痛むとことかあるか?」

『大丈夫...ってあれ?私しゃべれる...なんで?』

「お前とさっきの女の心を入れ替えたんだ」



ベッドから起き上がりよく周りを見てみるといつもより高い目線
ふと下を見ると私、だったウサギ


えーと、つまり



『私はローを好きでいていいの?』

「フッ...当たり前だ」



あれからウサギになってしまった女の子はどうなったかはわからないけど特に気にしていない
そう思うあたり私は海賊向きなのかもしれない



『私、今幸せ』

「...もっと幸せにしてやるよ」



そう言ってローは優しくキスをした



  

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