過去拍手

□2015.4.3〜2016.4.4
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『立ち入り禁止の場所の秘密〜後編〜』



「お前、案外良い奴だな」


男は賑わう木の葉隠れの里を見下ろしながら言った。
肩に奈良シカダイを担ぎ上げたままだった。


「別に。ただアンタが、俺の一族の誰かに復讐したいっていうから協力してやろうと思った」

「……そこは全力で阻止するとこじゃねェの?」

「だって俺まだ下忍だし。あの場に封印という形でいたやつに勝てそうにもねーや」


めんどくせー、と呟くシカダイは青い空を見上げた。


「それに、あんまお前脅威じゃなさそうだし」

「……ハァ!? どういう意味だ! コラァ!」

「うわ! あぶねっ! 落ちる!……俺の一族だけじゃない。お前みたいな怪しい奴、火影様だって見過ごさねーよ。火影様に勝てるわけないって」

「くそっ……まー確かに、オレ一人じゃなァ……角都でもいれば少しはマシだったんだろうが」


溜め息を吐き、男はシカダイを下ろした。


「というか、アンタ誰なの? 名前くらい教えろよ」


シカダイは相変わらず落ち着いた様子で男に尋ねる。


「……飛段。お前は?」

「シカダイ」


初めて自己紹介し合った二人は殺気も立てずただ目を合わせた。


「ところでアンタの復讐相手って誰? 俺の一族の奴なんだろ?」

「んー……確か……」


そう言って空を見上げる飛段。あー、とか口にするがどうも思い出せないらしい。
忘れたァ、と言った。

その言葉にシカダイは「はぁ?」と呆れた声を出した。


「アンタ馬鹿なんだな」

「うるせぇ! あーでも……すっげー頭が良い奴だった。ムカつくくらいに」

「頭の良い……俺の一族で今一番頭が良いのは親父だけど……」

「お前の親父? 誰?」

「奈良シカマルっていう」


その名前に飛段は「あーそんな名前だったかもなァ」とどこか適当な感じを漂わせた。
そして、立ち上がり


「なーんか、どうでも良くなってきたわ」


と里を眺めた。


「え?」

「なんつーか、お前の親父を地獄に落としてやろーとも思うけどその前にこの平和そうな光景見たらよォ……ぶっ壊したくなった」

「は? なっ、ちょ!」

「つーわけで、ジャシン様!! この里を血祭りにしてやりますよォ!!! んで、全員生贄にするぜ!」


再び、シカダイを担ぎ上げた飛段は木の葉の里に足を走らせた。






――……‥‥

(ちょ! オレまだ何もしてねェ!!! なのに、首飛ばされたんですけどォ!)
(……シカダイ、どういうことか後で説明しろ)
(いや……その……はい……。つか、首切れてんのに何で――)
(見りゃ分かんだろ! オレはァ! 不死身だぁああああああいってぇええええ!!! 髪掴むな! 角都を思い出す! つか角都は!?)
(今頃、あの世で隠居してるぜ)
(マジか。お笑いだな! あんなに心臓取りまくって生きながらえてたのにな! 角都ザマァ!)
((こいつうるせぇ……))



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掲載期間:2015/12/10〜2016/2/9
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