Past after present
□セーブデータ17
2ページ/13ページ
「嫌だよ!ボクは絶対入らないからね!」
古びた洋館を見つけた時から10分後。
フェン達は洋館に入らずに草原で待機していた。何故なら、音子とソードが洋館に入るか入らないか揉めていたからだ。
「えー、俺ずっと歩きっぱなしだったから足痛いんだけど。」
「俺の右脇に乗ってきたり飛んだりしたお前が言うな!俺の方が痛いわ!」
使いすぎでパンパンに膨らんだふくらはぎをさすりながらフェンが言った。
ソードはそれをシカトし、シュークリームを片手に持ちながら音子に話す。
「お前、ホオジロザメとかファイアードレイク生け捕りした時は平気だった癖に……明らかに幽霊の方が怖くないと思うが。」
「いや、あれはね。お金の為なら頑張れるからだよ。」
音子は真顔で言った。
ソードは(コイツ二重人格かよ…)と思いながら、呆れて背を向け洋館へ歩きだした。
「じゃあ、フェンだけ連れて洋館入るから一人でそこで待っとけよ」
「フッ、音子は俺が一人にさせん!」
フェンはその場を動かなかった。
歯をキランと輝かせながら音子の隣に並ぶフェンに、ソードは溜め息をついた。
シュークリームを口にくわえながらクルリと振り返る。
「あのなぁ…痛いって言ったのは、どこのどいつだ?」
「お前。」
「………………」
フェンは練りワサビを食べながら指を差した。
確かに"足が痛い"と言ったのはソードである。
「前置きは面倒臭いから置いといて……このまま俺が洋館から戻ってくるのを待ったり、そうじゃなくても音子肩車で立ちっぱなしだとか野宿をここでやったりしたら、今度こそ骨が砕けるぞ。良いのか?」
「何が?」
「……………」