Past after present

□セーブデータ14
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「ソードのバカ野郎おおおおおおおおぉぉぉっ!」


 白い砂浜にさざ波と風の音が鳴り、カモメの鳴き声が聞こえる………前方にはエメラルドグリーンの海。

 青い空の元、音子の思いを込めた叫びはさざ波に掻き消されてしまった……


 一人浜辺に三角座りをする音子に、ソードはマンゴーを食べながら後ろで励ました。


「そんなに落ち込む事ないって。気にするな気にするな。楽しいツアーが台なしになるだろ?」

「それで丸く収めたつもりかあああああぁぁ!ボクはツアーとか全く興味ないからね君と違って!!!一千万円の損失は大きいんだよ分かってる!?」


 …実はソードはこの世界へとトリップした時、熱帯雨林の中のとある村で開催されていたツアーに勝手に申し込んでいたのだ。
 音子の承諾を得ずに一千万円を支払って。

 …ソードは現実逃避をするかのように海をぼんやりと眺める。


「ああ、潮風が心地好い…」
「ねぇボクの話ちゃんと聞いてる!?」

「あっ、お前の大好きなホオジロザメが優雅に海を泳いでるぞ!呑気な奴らだなぁ……」
「別にホオジロザメとか好きじゃないし興味ないし!!!」


 音子は立ち上がり海を眺める。そこには巨大なホオジロザメがイルカのように海からジャンピングをしている奇妙な姿があった。

 しかも、その顔はとても可愛かった。
 フェン子ちゃんの百億倍は可愛い。

 
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