Past after present
□セーブデータ03
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小人がひっそりと暮らしている。妖精の住家がある。そして、魔女が住んでいる――
…そんな伝説がある、このカルミア西の森に突如として大きな黒い穴が出現した。
午後2時過ぎの平和な時間帯。その場に居合わせた者はきっと驚くだろう。元から何も無かった空間に穴が開いたのだから。
…さらに、そこに存在しているだけでも不可思議な穴の中から、人の顔をした怪鳥とそれに乗った青髪の少年が出てきたのだ。
怪鳥は穴から完全に体を出すと、紫色の顔に憤怒の表情をうかべ、土色の翼を羽ばたいて森を滑空した。
この怪鳥。怒っているのではなく、生れついた時から憤怒の表情をしていたのだ。その世にも恐ろしい見た目とは裏腹に、性格はヘタレだったりする…
青髪の少年を載せた怪鳥がその場からいなくなると、黒い穴は跡形もなく消えて亡くなってしまった。
―――飛び立ってから数分。怪鳥は自分の背中の上の少年をジッと見つめていた。
(この兄ちゃん、自分の事を"元側近で魔王を殺した犯罪者だ"って言ってるが、本当か…?)
「おい、何そんなにジロジロ見てんだ。俺は観賞用植物じゃねぇぞ。水だけじゃ人生やってけねぇから。
菓子がないと俺ショックで死んじゃうから。」
「へ、へぇ!すいやせん!」