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□OUT OF THE WORLD
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恐怖に目を見張る新八をよそに、高杉は後ろ手でばたりと扉を閉じた。

「そいつは天人が持ち込んできた面白ェもんでなァ。…どこぞの星で拷問用に開発されたらしいが」

高杉の口から唐突に出た、“拷問”という単語に、新八の動悸は速くなる。男が平然と言い放った分だけ、残酷なその意味との対比が色鮮やかに思い起こされてしまう。

はっと前を見れば、不可思議な生物は何かを確かめるように体についている触手をうごめかせていた。何らかの粘液を出しているのか、ぬらりと光る吸盤のようなものを使い、ひたりひたりと新八の元へ這い寄ってくる。見たところ目はないので、嗅覚を頼りに行動するらしい。
その眺めはひどくぞっとするものだった。


「ご、拷問って…!」

だがそのフレーズから予想される、残虐な行為の数々に新八の思考は一瞬だけ固まる。“それ”から長く伸びた触手を使って首を締め上げられる図を考え、恐ろしさに身がすくんだ。

だけれど、“本当の”恐ろしさを感じたのはここからだった。


「人が狂う…自我を崩壊させんのも、立派な拷問だろうな。それが快楽によって導かれたもんなら、テメーはどうなる…?」

くく、と喉奥で囀った男が吐いた言葉の意味が分からず、得体の知れない恐怖にただ新八は立ちすくむだけだ。だがその途端に強く腕を掴まれ、膝を折るようにして足をついてしまう。反動からか、カチャリと高い音を立てて眼鏡が弾け飛んだのが分かった。


「あっ…!」

思わず両手を着いて見上げた新八の視線の先には、その“拷問用”生物がいる。その触手が新八の右腕に絡みついて離れない。元より拘束具で捕われていた利き腕は、これによってすっかり本来の意味を無くしてしまった。

「い、嫌だっ!」

それでも叫んで体を捻ろうとする新八の左腕をも、それは触手で拘束する。そのまま壁に押し付けられ、何本もの触手で脚を開かされる頃には、新八もこの生物がどんな意図で作られたのかが分かってきていた。 これは間違いなく、性的な屈辱によって拷問を与える生き物だ。

その意味が成す行為にさっと顔を青ざめさせて、新八は唯一自由がきく首をぶんぶんと左右に振った。


「嫌…っ!お願い、許して下さい!」

着々と目の前に迫りつつある生物の更なる触手から逃れるように、少年が哀願の声を漏らす。だが高杉はひどく愉快そうに頬を歪めただけだった。

「そいつァ聞けねーな。聞いた話によると、そいつに骨抜きにされて一日中ねだり続ける奴もいるらしい。…お前はどうなるか、楽しみでしょうがねェ」

薄く笑った男の瞳には狂気が透けていた。その返事に愕然とし、新八は狂わんばかりの恐ろしさに目を見開く。少年は渾身の力を込めて、その生き物を遠ざけようと腕を振った。

「いや、…ッ!?」

だが途端感じた熱に、新八がびくんと体を揺らす。長く伸びた触手が、少年の胸を緩やかに擦っていた。ゆるゆるとはい回るそれは細く伸び、何本もの触手で新八の体を撫でようと揺れている。
その先端から滲む液体は融解成分が含まれているのだろうか、着物が溶ける微かな音が聞こえた。

続けて、どこか甘ったるいような微かな匂い。


「や、やだ…っ!!」

しかし募る恐怖に叫んでも、新八の体はもう己の意思ではどうすることもできない。しゅう、と小さな音を立てて布地を僅かに溶かした触手はあらわになった少年の素肌を目指すように綻びに腕を掛け、するすると器用に着物を剥がしていく。

触手の先端から溢れる粘液が肌にぬるぬると纏わり付く感触が不快で仕方なく、新八は再度涙声で高杉に訴えていた。

「嫌、ですっ…!お願い…ッ!!」

「ンな事言ってられんのも、今のうちじゃねーか?…なァ?」

だが高杉は蔑むような視線を新八に送ったのみである。男はそのまま腕を組み、ゆったりとした仕種で後ろにある扉へ己の背中を預けた。その動作を見るにつけ、高杉はもう一滴の哀れみも自分へ向けてはくれないという事実が新八の頭を渦巻いていく。

その恐ろしさに、体が震える。


「や、いやぁっ…あぁっ!」

しかし悲鳴に混じって上がった少年の声には、確かに甘いものが混じっていた。そんな声を上げてしまった自分が信じられず、新八は視線を高杉から自分の体を我が物顔でまさぐる生物へと急ぎ引き戻す。


触手の先端から漏れる液体はてらてらとしたぬめりを帯び、不思議と甘い匂いを漂わせていた。なるべくそれを嗅ぎたくないと思うのに、強く体を固定されている為にそうもいかない。

その匂いを嗅ぐ度に、どこかふわりと意識が薄れてしまいそうになった。もうどうでもいいと、全てを投げ出してしまいそうになる。それがこの生き物の持つ一番恐ろしい効果であることを、少年が知る術はない。

だけれど、今の己に残されたのは自分の矜持を必死で保ち続けることだけだ。その思いに、新八は精一杯目をつむった。これ以上見続けていると、頭がおかしくなってしまいそうだった。


だが触手は休むことなく動き回り、敏感な胸の突起を掠めていく。その度にあえかな声を漏らし、新八は首を振った。

「…あ、あ…ン、」

触手の先端から滴る粘液を塗り込めるようにして、それは新八の突起の周辺を撫で回る。円を描くようにして撫でられると、その頂きには何ら触れられていないのにも関わらず、新八の胸の飾りはぴんと上を向く程に固く尖りきっていた。

その悔しさにと屈辱に、新八がきゅっと唇を噛み締める。だが漏らした吐息には既に快楽が滲み始めていた。

触手がもたらす媚薬めいた効果は大きく、新八の瞳は既にとろりと潤みかけている。


「ッ…!」

その間も隈なく触手は動き回り、もう片方の突起の先端を悪戯につついている。きゅっときつくつまみ上げられた次の瞬間、筆で優しくなぞられるようにされる。それだけで、たまらなかった。
まるで脊髄に緩い電流を流され続けているような感覚に陥る。

確かに別々に与えられる快楽なのに、それが一所へ集束していくような。


「やぁっ、ん…あ、だめ、そこっ…」

定まらない思考の中でも、新八は細切れに言葉を繋いだ。それでも触手は動きを止めず、痛いくらいに尖ったそこを緩やかに擦り続けている。絶え間無い恥辱の果てにか、新八の頬を一筋の涙が伝っていく。
それなのに、愉悦にたゆたう体の火照りを止められそうになかった。

こんな自分を浅ましく感じて、悔しくて、耐えられない程なのに。

「あ、あぁっ、ん…」


執拗なる胸への愛撫からか、それとも素直に反応を続ける新八の体に気を良くしたのか。

触手は新八の胸を撫でたまま、別の腕を使って少年の袴の紐をするりと器用に紐解いた。


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