TOS-R
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「…………アステル…。」
月が真上に来る頃……ひっそりと静まり返っている宿屋で俺は外を眺めていた。
いつも一緒にいるアクアには「ラタトスクコアを監視しろ」と命令を出し、俺は久々に一人になった。
…………いや、独りになりたかったのか…。
ふと物思いにふけって、らしくないと思う。
それもこれも………『エミル』を思い始めてからである。
確かに、エミルはアステルを殺したラタトスクだ。
分かってはいる。いずれ倒さなければいけない相手だとも。
…だが………
アステルと顔が同じだからと言うわけではない。
『エミル』を愛してしまった…
「フッ…俺にも………まだこんな感情があったなんてな……」
月は西に沈みかけていた。