零崎月織の人間遊戯

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・(今度こそ)双識と。


基本的に、月織は引きこもり予備軍である。

理由があれば普通に出歩きはするのだが、特に理由が無ければリビングか自室でゴロゴロしているのだ。
そして今現在、この家には(強制)引きこもりがいる。



「月織ちゃんお兄ちゃんは暇すぎて死にそうだというのを体験しているよ…」


曲弦糸で縫合した傷も無事に繋がった双識なのだが、何分怪我の度合いが酷かった。
傷痕はしっかり残ったし、繋がったとはいえまだ塞がっていない傷は日常生活でも気を付けていなければ血が滲む。

よって双識は、今の所自宅療養目的に軟禁されていると言ってもいい状態なのだ。



「…双兄ってさ、可愛い女の子好きだよね?」



唐突に月織がそんな事を言い出した。
特に否定する理由もない双識は一つ頷く。


「ああ、まあそうだね。その言い方だとちょっとした誤解を招きそうだけれど私は女の子が大好きだよ」

「ここにギャルゲーソフトが2本あります。興奮して暴れないのだったら片方を貸しましょう」

「―――月織ちゃん、君も女の子だよね?」



すちゃ、と出されたPCソフトのパッケージにはよくある感じの可愛い女の子が数名描かれていた。
種類は『恋愛シミュレーション』。

どっからどう見ても女の子達を口説いてハーレムを生み出そうと頑張る感じのギャルゲーですありがとうございました。




「一応性別は女だけど腐女子だし。さすがに双兄にBLゲームを貸す訳にもいかないしさぁ。ここは間を取ってR−12のギャルゲにしたんだよ」

とりあえずソフトは有り難く受け取って、パッケージを見てふと思った事を口に出してみた。


「……スカートの下はスパッツ無しがいいと思うんだ」

「パンチラなんて青いね、女の子の腰から太股、膝にかけての曲線と絶対領域が萌えるんじゃない。ラインが浮かぶなら生足じゃなくてタイツとかタイトパンツでもおkだよ私」

「確かに絶対領域も捨てがたいけれど、私はスカートが翻った時に見え隠れするスパッツ類が悲しくて…」

「それ北国の女子中高生に言ってみなよ、皆して『だって寒いから』って答えるよ」

「寒いのならば私が温めて」

「変態は黙れー」



変態度は同じくらいだろ、とは一連の騒動を実はずっと見ていた人識の心の声だ。



後日、どの女の子のどこが可愛いかを語り合う長兄と末妹がいたとか。






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