戦国への来訪者

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「さ、佐助!お主には見えていたか!?」

「いや…見えてたけど理解できないって言うか…」

「…猿飛、俺が真田の間合いに入ったのは何歩だ?」


ふと気になったので聞いてみる。
これだけ戦い方…生き方に差が出る世界だ。

俺達にとっては当たり前でもこちらじゃ非常識、って事もあるだろう。
実際、魔物の事がそうだったしよ。


「え…?えっと、2歩……かな」

「残念はずれ。じゃあ駄目元で真田殿は如何様に?」

「……るい……ござる…」

「は?」


「ずるいでござる!何故佐助にはそのような口調で話すのでござるか!!」


キィ―――…ン…



いきなり上がった大音量に聴覚が一瞬機能しなくなった。

現状把握できずただ戸惑っていれば、こっちが黙っているのをいい事に真田がぎゃんぎゃん喚きだす。



「確かに某は月宮殿よりも弱いでござるが志では負けてござらん!」

「あの少し待」

「各地に蔓延る魔物を退けるためにも、お館様の上洛のためにも修練を怠りなどせぬ!!」

「話を聞」

「確かに某は武士であり城主にござるが月宮殿は元来この世界の住人ではないのでござろう!?」

「おい」

「ならば畏まらずともよいと」


ガンッ


「話を聞きやがれ暴走機関車野郎が!!」


頭突きで無理やり止めた(沈めたとも言う)。
ぐぉぉ…頭突きしたのはこっちなのに予想外に痛ェ…!!



「ずりィも何も俺は傭兵あんたは雇い主側!ずるいだ何だ喚く前に状況を把握しろ猪突猛進野郎!
言いたい事があンなら人の話も聞け!自分の言いたい事だけ言い散らすのはガキのやる事だろうが!!」


背中に迷彩の視線が刺さるがンなモン知った事か。
ついでに額押さえて尻餅ついたままポカンとしている真田も知った事か。


「大体なァ、テメェにゃ上に立ってる自覚が薄いンだよ!
簡単に名を明かすわ得体の知れねェ奴の元に単独で来るわ、挙句自分の力量を見誤って危険の中に飛び込むなんざ愚の骨頂だ!
自分に自信を持つのはいい事だがそれが過ぎればただの過大評価で結果的に悪い方にしか転ばねェんだ!テメェの不始末をテメェ1人で片付けられンならともかく、そうはいかねェのが城主ってモンだろ!?

分かってンのかそこら辺!!」



頭に血が上ったまま、言いたいだけ言って入口へ足を向けた。

後ろから制止の声がかかるが、俺は止まる気なんざさらさら無い訳で。
ブーツに足を突っ込みがてら半身だけ振り返って嘲笑った。



「俺はテメェみてェな甘ちゃんヤローが大ッ嫌いだ」






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