戦国への来訪者

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「…俺は奥州筆頭、伊達政宗だ。What your name?」

「西関中大家十三番月宮組、月宮と呼んでくれ」


本名を名乗るような事はしない。


「Ah?」

「俺らのならわしでな、名は名乗らんのさ」

「Ha,I see.俺の事は好きに呼びな」


本当に納得した訳じゃなさそうだが、それ以上の追求は無かった。

だが、さっきのこいつの台詞がひっかかる。
おうしゅう、ってのは奥州だろう。伊達家って武家があるのも知ってる。

だがその辺りはかなり昔に統合されて元締めは別の奴だったはずだ…そこまで考えた所でようやく街道へ辿り着き、固い地面を踏んだ直後。



ガギィン!


「いきなりかよ、ひっとーサン」


斜め前にいた眼帯がいきなり斬りかかって来た。
予備動作も小さいしスピードも中々だが、今一踏み込みが甘い。俺がヒトだからって手加減してるつもりなのか?




「あからさまな嘘に乗ってやるほどお人好しじゃないんでな、you see?」

「はあ?いくらここが北部の辺境だからって大家十三組くらい知ってんだろうが」

「No kidding.(ふざけるな)ここが北の地だってのは認めるが、北部なんて呼ばれ方はされてねぇはずだぜ。それに大家十三組だ?聞いた事もねぇな」

「そっちの頭が大丈夫か。十三組の存在すら知らねェってどんだけ辺ぴな場所なんだ」

「前半そっくりそのままreturnしてやるよ!」



腰の刀を全て抜き去った眼帯が突進してくる。

それをバックステップでかわして俺も自分の長剣を抜いた。
あえて突っ込まねェけど、片手で刀3本ってどんな握力してんだろ。



「HELL DRAGON!!」

「ぅお!?」


雷…言霊か、今の?術符使ったようには見えなかったし…
掠ったせいでチリチリと焦げた髪を軽く触り、構えを少し変えた。正面じゃなく、半身引いた回避重視の構え。

俺の意図に気付いたらしい眼帯がニマリと笑った。




「Let’s party!!」

「勝手にやってろ」



右からの攻撃を後退で避け、続けざまに来た左からのもさらに下がって避ける。
突きの構えから瞬き程度の時間差で襲って来た連続での突きを、片手で逆立ちする事でかわした。


「ちっ…ちょこまかと!」


大きく振りかぶった眼帯の背後に生まれた気配。
それに眼帯が気付く様子は無く、気配の主は鋭い爪を振り下ろそうとしていて……






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