零崎月織の人間遊戯

□3
1ページ/9ページ


哀川瑠奈、14歳。


「―――あちゃー」


人を殺しました。
それも裏世界とか裏社会じゃなく、表世界の表社会の奴。
私の視線の先には、赤く紅く染まった路地と、見るも無残に破壊された人体×3。


「まさか、なっちゃうとは」

まーぶっちゃけた話、私はこれ分かっちゃったわけですよ。何が起きたか。

ま、あれです。零崎覚醒。



「うっわどうしよ……危機感てか罪悪感ないわひゃっはー」


完全な棒読みで言ってみる。実際無いんだけど。
もっとも前から…“向こう”にいた時から考えはドライだったっけどさ。


「どうしよっかな…」


今の私の服は、ジーンズとシンプルなシャツという、至ってボーイッシュな格好。
手には血濡れた鉄パイプ。
カツアゲ(ナンパではないだろう、多分)されかけて、気付いた時にはこうだ。


『ひひ、中々面白いじゃねェか。お前の“物語”』


あー、そういえば。こんなのいたっけね、自称神様。
一応シンって呼び名はつけたけど。


『おいおい、その扱いはねーだろ』

ずいぶんと音信不通だったから、もう何も言ってこないと思ってたよ。


『別にいいだろ?お前の望みは大体叶えたし、もうここは原作から逸れちまってる。壊すも救うも全てはお前次第だ』

さいですか。


とりあえず脳内での会話(?)を切り上げて、再度周りを見渡す。


血まみれの路地。
死体は3つ。
目撃者はゼロ。
血に濡れた鉄パイプを持つ少女。
鉄パイプ同様血だらけの服を着た少女。



妖しいどころか犯人確定できるわ。



「あ!」


しまった、見つかった!?
とにかく目撃者は殲滅だ、なんて少し前の自分からしたら物騒極まりない思考回路で考え、結論を弾き出す前に相手に飛びかかった。

でも相手は、私の鉄パイプ(コンクリ凹ませる威力)を避けて、にやりと笑ってみせる。



「―――よぉ、瑠奈。俺の事覚えてるか?ちなみに俺は忘れてない」

「ひと、しき」

「正解」


いや、だって。君みたいな強烈なキャラ、忘れられないって。
第一、私原作知ってるし。

あれ、そう言えば零崎一賊って何かこう、同族オーラ的なものを感知できるんだっけ。



「家賊の気配がしたから来てみたけど…かはは、来て大正解。まさかの再会と、まさかの覚醒だ」


あー。やっぱり覚醒してんのか、私。
特に感慨はな…あ。ある。


私は現在進行形で“少女”で、何の因果故かトリップ特典で“美少女”だ。
双識と曲識に対してものすごーく危険フラグ。

ついでに潤に対してもちょっとばかし恐ろしいフラグが立ってる。




「もしもーし。瑠奈ー。聞いてるかー?」

「え、あ、はい。聞いてません」


慌てて返事をしたら、人識はがくりと項垂れた。
……何かしただろうか。


「だからな。詳しい話はするけど、その前にどこか行こうぜ」

「あー。それならウチにおいでよ。今なら平気だろうし」


言い忘れていたけど、今は夜中の11時過ぎ。思いっきり深夜です。


良い子は寝る時間!






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ