零崎月織の人間遊戯
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そんなこんなで月日は流れ、色々あって(そりゃもう本当に色々と)私は潤の請負業を手伝っています。
うん、現在進行形で。
チュンッ
「うわっとぉ!?」
今回のお仕事はとある薬物売買組織の壊滅だそーです。
潤は薬物の方を抑えるから、その間に増援の足止め出来れば撃退を任されたのです、が。
「これっ、まだっ、12歳のっ、女の子にっ、やらせ、る事じゃっ、ないよねっ!?」
銃弾やら改造スタンガンやらナイフやら剣から無傷で逃げてる私を誰か褒めて下さい。
そもそも徒手空拳、いわゆる素手で武装集団の中に放り込まれたら普通死ぬ!!
「―――あ、普通じゃないか」
自主ツッコミ。
だってね、トリップ特典なのか色々とチートなんだもの、私。
くるりと方向転換して武装集団に振り向くと、あちらさんは私が観念したと思ったみたいだった。
……ま、所詮は“裏社会”というやつだ。
「爪が甘すぎるんですよー」
ぱちん。
やけに軽い、細い何かを切断する音。
音の出所は私が左手に持つハサミ、それで近くの紐を切っただけだ。
―――大量のコンテナを縛りつけていた、紐を。
ガラガラと凄い音(+砂埃)で武装集団を下敷きにしていくコンテナを見ながら、扉を蹴破って現れた“姉”に苦笑する。
「お疲れ様」
*****
「相変わらずやり方がえげつないなー」
「……あの、潤。それ12歳のいたいけな女の子を、武器無し防具無しで放り出しといて言う?」
しかも数十人からなる武装集団に。
でもそれは目の前、いや隣の運転席にいる赤い請負人には通じない訳で。
「なーに言ってんだ、修行だ修行。お陰でめきめき強くなっただろうがよ」
「そりゃそーだけど」
私がこの世界に来て2年。哀川瑠奈になって2年。
トリップ特典はどうやら、根本的な身体能力の向上と(何故か)若返りと美少女らしい。
美少女はまぁ、嬉しいけど若返りはいらなかった。
ちなみに、自称神は忙しいのかわざとなのか話しかけても応えない。別に困りはしないからいいけどさ。
「そういやさ、知ってるか?お前にもとうとう二つ名がついたぜ」
「マジで!?」
早くない?
あ、いや。人類最強の妹で請負人見習いという事を考えると、2年で初というのは遅いのかもしれない。
「ああ。《暴虐王姫》(エンプティチャイルド)だとよ」
「うわ、何ソレ」
何そのやたらと生々しくも怖い二つ名。呼び始めたの誰だ。
がく、と項垂れる私に潤はけらけらと笑いながら言う。
「二つ名なんて気にすんなって。どうせこれから変わったり増えたりすんだから」
「気休めにもなりません」
むしろその逆だよね。気負わせてるからね、その言い方。
「―――でも、何で暴虐なんて呼ばれてるんだろ?」
(正解:近くにある物何でも使って敵を完膚無きまでに倒すから。先程のコンテナ然り、そこらの鉄パイプ然り)