零崎月織の人間遊戯

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はいはいどーもぉ!
とりあえずよく分かんないうちにトリップしちゃった私、瑠奈なんですが……


「え、ちょ、待って。何コレ。何でいきなりスプラッタ!?」


トリップした先が何とも、一面真っ赤のスクラップ…じゃない、スプラッタ現場でした。


「わぁ…初めて見たよこんなの……
いや見た事ある方がおかしいけど」


一人ボケ、一人ツッコミしながらとりあえず血まみれの路地を抜ける。
そこで出会った、“こちら”の人。



「…あんたどっから来たんだ?
さっきの奴らは全部やっちゃったし、そこ袋小路のはずなんだけど」


小柄で、学ランで、刺青入れてて……
ん?あれ?髪も染めてないし、ピアスも無いけど…こいつってまさか人識?
じゃここって戯言世界?


そこで一気にフェードアウトしかける私の視界。

無理無理無理!!
しがない一般人の私が殺人鬼の人識に勝てるワケが無い!!



『いや、勝てるから。
っつーかお前、脳内どんだけ早口なんだよ。思考読む側の身にもなれ』


いや思考読めるのあんただけだから。
って、そんなどうでもいいツッコミはしなくていい。


『どうでもいいのかよ。
とりあえず素手じゃ厳しいから、そこの鉄パイプ拾っとけ。さすがにお前でも丸腰で刃物相手はキツイ』


言われなくても。



思考を一時中断して、そばに落ちてた鉄パイプ(血糊付き)を拾い上げる。

この際、服に血がついても構うもんか。上着脱げばいいんだし。



「おっまさかのプレイヤー?あんたどこの奴だよ」

そう言いながらベストの内側からナイフを取り出す人識。
私、今すっごい夢のようなシチュエーション真っ只中なのに……

どうしよう。


怖いのやら嬉しいやらやっぱ怖いのとかで脳内ぐちゃぐちゃだ。






「ま、ついでだ…殺して解して並べて揃えて晒してやんよ」


あぁぁっ人識の決め台詞聞けただけでもう逝っていい!!


『コラ。それ俺が困るから。つーか来るから早く構えろ』


って人識めっちゃ早いじゃん!


眼前ギリギリのナイフを、鉄パイプで何とか弾く私。

正直、腕が痛いです。





『ほれ、もっかい来るぞ』


呑気な声の主に鉄パイプ喰らわせてやりたい、とかなり本気で思いつつナイフを弾く。

数度その攻防(いや私の防戦一方だけど)を続けると、人識はいきなり攻撃の手を緩めた。




「なぁ…あんた何者だ?」

「え……と……(トリップしてきたとか言えないし)ほ、放浪人?」






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