零崎月織の人間遊戯

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・軋識と。

「きっしーはヘタレ熊だと思うんだけどそこら辺どうっすか」

「…それは俺にどういう返答を求めているっちゃ」


並んで雑談混じりに夕飯の支度をしていたら、唐突に月織がそんな事を言い出した。

声量的には呟き程度だがすぐそこの距離にいるためバッチリ聞こえている。



「否定でも肯定でもどっちでもいいけどあわよくば否定しつつ誘導尋問的にうっかり肯定してほしかったり」

「ハードル高すぎっちゃそれ!てゆーかヘタレは百歩譲っても熊って何っちゃか!?俺のどこが熊!?」

「普通否定するの逆でしょーよ。ヘタレ肯定するんかい」

「肯定はしてないっちゃよ百歩譲っただけっちゃ!ていうかマジで俺のどこが熊!?」


後半のキャラが崩壊しているのはスルーして、月織は皮をむき終えたジャガイモを一口サイズに切りながら唇を尖らせた。

ちなみに拗ねたりしている訳じゃなく、割と真面目に物事を考えている時の彼女の癖です。




「どこと言われても…その場のノリとテンションと私の独断」

「完全に月織の独断と偏見っちゃね了解っちゃ」

「後さ、童謡にあるじゃん。“森のくまさん”」

「ちょっと待て」


あるぅ日〜と上機嫌に歌い出した月織はさくさくと野菜を一口サイズに切って圧力鍋に放り込んでいく。

本日の夕飯は懐かしい味代表、肉じゃがです。





「クマさんはーロリコンでした〜」

「自重しろォォォ!!」



……こんなんでも仲良しなんですよ。

本当に。






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