キリリク&拍手文

□あめ玉長者
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『うーん…(このあめはどうすれば)』



朝起きて(起こされて)、休日で何もすることがないので、気まぐれに外を散歩。

夢の中の内容をうっすら覚えていたため、小さな彼の予想通りベッドから転がり落ちた私は、彼の言ったことに従ってみることにした。

よって、片手には紫のあめ玉。別に占いとかには興味ないが、試しに、だ。

でも、折角なのだから食べてしまおうか…なんて考えた

その時、



「ぐぴゃあぁあぁあ!!」

『Σへ!?』

「うるせーアホ牛!泣くなバカッ」

「やめろぅ獄寺ぁ!ランボさんはアイスが食べたいんだぁっ」

「だから買わねぇっつってんだろうが。諦めやがれ」

「いーーやーーじゃぁあ!」

『な、なに?(あの銀髪くんとモジャモジャ牛柄はι)』



私の目に止まったのは喧嘩?を繰り広げる二人の男の子。

(子供は別として)男嫌いな私は、その光景に嫌気が差したので目を逸らして脇を通りすぎる…

が、動いていた足は止まった。

なぜなら、銀髪の少年がちっちゃい子に手を振りかざしたからだ。




「だーっもう我慢ならねぇ!」

「Σぐぴっ(ビクッ)」



『暴力はいけませんよ。』



「「!」」


「なんだオメー…あぁ?」

『暴力はダメです。―ねぇね、僕』

「っん?」

『ソフトクリームじゃないけど、あめ、食べる?』

「やーだよ。おれっち今はアイスが食べたい…ああ!これはおれっちの大好きなぶどうのあめ玉だもんね!いいの?」

『うん。食べちゃって』

「わーい!((パクッ))」


『ばっ他人からの貰い物をすぐに口にすんじゃねぇよ!』

「んー、おいしいもんね。ありがとな女!」

『はいはい。いいこね〜…それじゃ僕、ばいばい』




モジャモジャの髪を撫でる。

銀髪の少年も落ち着き、牛柄の男の子が泣き止むと、私はそそくさとその場を去ろうとする。

が、



《ガシッ》



「ちょい待て。」

『‥何かご用でしょうか?』



不意に腕を捕まれた。

離して離してっ

別に貴方が悪いわけじゃない。だけど、男の子に触られるのはすっごく嫌!



「あ、その、ありがとよ。コイツずっと喚いててウザかったんだ」

『いいえ。お礼を言われるほどのことはしていませんから。』



だから早く離してよ!



「(何だコイツ…急に畏まりやがって)あ、そうだ」

『まだ何かありますか』

「んだと!?生意気な口きくんじゃ…じゃねぇ。ん〜と、どこやったか…」

『用があるなら早くしてください』

「少しは黙れっての。礼儀のなってねぇヤツだな。
!あ、あった。ほらよ」

『っ!?』



ほいと放り投げられたそれは、

茶色い菓子袋。



「麦チョコだ。やる」

『な、ぜ?』

「礼だよ礼。一応こっちは感謝してんだ。ありがたくもらっとけよ」

『………ありがとうございます。』




一見不良に見える彼の意外な行動に、私は拍子抜けしてしまった。

だが、麦チョコを落としそうになるのにハッとして意識を取り戻すと

『用があるので失礼しますね』

と一言言って礼をして、
走って彼らの前から姿を消した。




「ばいばーい!」

「何だあの女…」




不良と牛のコンビは、華奢な後ろ姿にそう呟いて口を閉じた。


あめ玉⇒麦チョコ⇒?
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