※BL注意

















 小さい時というのは、酷
 く無知で、残酷で、それ
 でいて幸せなのだ。



 その一言は、家の近くの
 公園で告げられた。相手
 は幼馴染みで、その日は
 いつも道理、母元から離
 て遊んでいた。まだ幼く
 て、そう幼かったのだ。

 その公園には、紫色の花
 が咲いていた。幼馴染み
 と俺にとって、とても馴
 染み深い花だった。

 その花が凄く好きだった

 そして、幼馴染みは俺に
 その一言を告げた。

 きっと俺達はその一言の
 重みも、自分と相手が男
 だと言うことも、それが
 禁止(タブー)だと言う事
 も、何も知りはしなかっ
 た。それは最早、愚かで
 は無く悲しいだけなのだ



 カチッ、

 ライターに火をつけ、い
 つも吸っている赤い箱を
 開けた。場所は屋上、煙
 を吸うのには最適な場所
 だ。煙を一気に肺に吸い
 込んだ、空きっ腹のせい
 か、やけに腹にきた。

 はぁ、と煙を感じながら
 吐きだす。煙草を始めた
 のは二年前の中学3年の
 時だった。特に理由は無
 かったが、皆吸っていた
 し、あの時の気持ちを落
 ちつけるのには、丁度良
 い代物だったから。


 ガチャ

 いきなりドアが開いた。
 "よぉ"と声を掛けてくる
 ソイツは良く見知った顔
 で、奴は俺の口の煙草を
 みて顔をしかめた。


 「珍しいーなぁ、てめぇ
 がサボるなんて」

 緩く、でもあまり優しく
 はない口調で俺は言った

 「おう、てかサボりじゃ
 ねーんだけど…、これ姉
 貴から」

 あまり話したくは無いの
 か用件だけ早々と伝える
 ソイツは面倒そうに頭を
 掻いている。


 「おー、さんきゅ」

 渡されたそれは弁当箱で
 まぁ、なんて言うか呆れ
 る位マメだよな。


 「いーえ、つか自分で取
 りに来いよな」

 呆れていても、そう言う
 事を言うのはシスコンな
 のか、只の優しさなのか

 俺はヤル気なく"へーへ"
 と曖昧に返事をした。


 用事の終った奴は、

 "じゃあな"

 と、やはりサッサと戻っ
 て行ってしまった。


 いつからだろうか?

 親しく話さなくなったの
 は、煙草を吸っていたの
 を見られた時?女とない
 ざこざで殴られて傷だら
 けになった時?

 多分違う…。話さなくな
 ったのは、きっと、


 (アイツの変わりに奴の
 姉貴を抱いて付き合いは
 じめたとき)


 なんとなく嫌気がさして
 煙草を握った。熱っ、と
 言う声が掠れた。

 (昔は好きとか言ってた
 のにな)


 言えなくなったのはきっ
 と必然で。でも俺はアイ
 ツが好きで、例え愛して
 も、抱き締める事さえ出
 来なかったとしても。

 その反動でアイツの姉貴
 を抱いて奴が苦しい思い
 をしたとしても…。


 (まぁしてたらの話だが)


 そんなある日、"アイツ"
 に恋人が出来た聞いた。
 とても幸せらしい。

 何故か酷く傷付いた。や
 はり、どうしようも無く
 俺は奴が好きなのだ。

 だから…、


 「おい」

 奴はとても歪んだ形相で
 俺の元へ来た。

 "何で"と声になっていな
 い声で呟いた。俺はきっ
 と、してはいけない事を
 した。

 俺は奴の恋人を無理矢理
 抱いた。それも、かなり
 手酷く。

 だけど、俺は奴の言葉に
 笑みで返した。

 だって…、

 "アイツはお前を傷付け
 様としたんだ"

 益々歪む奴の顔を、ただ
 眺めた。だってあの女は
 お前が簡単だと、直ぐに
 墜ちたと。安い男だと、


 だから俺は例え報われな
 くても、

 騒ぐ奴の唇を無理矢理塞
 いで俺は奴を押し倒した


君の為なら僕は、
と立波草に誓った



それが例え狂喜だとしても















 相互記念スミス様へ

 (090620)

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ