落乱


□小さい嫉妬[仙文仙]
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ミーンミンミンミンミンミン…


ミーンミンミンミンミンミン…





ぎらぎらとした太陽と大きな入道雲の下、忍術学園休校の今日
六年生の潮江文次郎は庭の木陰で花占いをしていた


「俺はモテる…モテない…モテる…モテない…モテる…モテない…モテる…モテな………くそっ!!!」



「っ!……
モテる!モテな「おい、花びら以外は入らないだろう。諦めろ」

たかが花占いごときでせこい真似する文次郎に隣で読書をしていた仙蔵は呆れながら言った


「それにどうせ花占いでモテると出ても私には勝てないのだからな。」

クスッと笑いながら言ったその言葉を聞き、文次郎は「ふんっ」と意地を張るように新しい花で占いをし始めた

「…お前は黙ってろ仙蔵」

真横に咲いている花を一輪採り、花びらを一枚一枚剥がしていく
……モテる…モテない…モテる…モテない………モテる…モテ…………ない。





畜生っ…
何度やっても何度やってもモテると出ないなんて占いの意味ないじゃないか!!!

文次郎の周りには黄色い花びらがパラパラと散らばっている
いい加減飽きたのか花びらが無くなった花を捨て
仙蔵の隣に寝転がった



木の隙間から射す太陽の眩しさに文次郎はそっと瞼を閉じる


「なんで花占いなんだ?」

仙蔵は読書をしたまま文次郎の事を見る事もせず
ただはっきりと文次郎に問い掛けた

「モテたいからだ。」
「答えになってない。」
「というより…俺がモテるかどうか知りたいからだ。」




暫しの沈黙




文次郎が
何か変なこと言ったか?と聞きながら仙蔵の顔を覗くと呆れたような顔で見返された

「貴様はほんと馬鹿なんだな…脳みそ入ってるのか?」
「なっ…!!!」
「それに今時花占いなんかするなんて…長次じゃあるまいし。」
「長次が花占いは当たるって言うからだなぁ!!!俺はっ…」


文次郎の言葉を遮るように昼時を知らせる鐘が鳴った
行くか…と先に立ち上がった仙蔵はスッと文次郎に手を差し出す

その手を支えに勢いよく立ち上がると世界が揺れたような目眩がした


「行くぞ。」
「あぁ」

仙蔵は繋がれたままの手を引いて歩きだした
仙蔵に引かれながら木陰から出ると直射日光がじりじりと暑い


「貴様がモテるなんて事を気にするなんてな…」

「…ふんっ」

文次郎は不機嫌そうに外を向く


「そんな気にするな。それにもし貴様がモテようものなら私は何するか……



楽しみだな文次郎。」


こちらを見ようともせず
ただ歩きながらボソッと呟いた言葉に文次郎は聞こえなかったふりをした


何かまずいこと言ったか?俺??
想像するだけでも恐ろしい事など意識しないよう
今日の昼ご飯の事だけを考えるように必死に頭を働かす


大抵何か俺がまずい事言った後は………





いやいやいや…今は考えないようにしよう…


たしか今日のA定食は焼き魚だったかな!
魚食べたいな魚!!!




二人は食堂へ向っっていった
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