ナナカマドは燃やせない

□第2章 組み分け
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「イッチ年生はこっち!イッチ年生はこっち!」
列車の煙で辺りが霧で覆われたようになる中、ベティ達は見上げるような大男の誘導で学校への道を歩いた。
途中で湖に突き当たり、そこにあるボートに次々と1年生が乗り込んでいく。
ベティ達は最後尾で、2つのボートに3人ずつ別れて乗った。ベティはシリウスとリーマスと一緒だ。シリウスはまだ片方の鼻の穴に百味ビーンズが詰まっているらしく、ずっと鼻を押さえていた。
「進めえー!」
先ほどの大男の叫び声で、一斉にボートが進み出た。
舳先に付いているカンテラで、湖の先のいくつもの尖った塔の付いた壮大な城が幻想的に浮かび上がる。
「きれい…」
ベティは思わず声を漏らしたが、それは他の生徒も同じだったようだ。あちこちでほうというため息が漏れる。
しかしそれも束の間だった。
「頭、下げえー!」
急に目の前に真っ黒い蔦のカーテンが現れ、ベティは慌てて頭を下げた。
「ふごっ!」
どうやら頭を下げ遅れたシリウスの頭に蔦がからまったようだ。
何とかしてあげたいが、真っ暗でベティにはどうすることもできない。
リーマスが蔦をほどき、やっとシリウスは解放された。
「サンキュ、リーマス。死ぬかと思った…。でも、鼻づまりのビーンズはとれたぜ」
そう言うと、ベティに向かってにやっと笑った。ベティもリーマスもぷっと吹き出したが、すぐに斜め前からのリリーの悲鳴でそれどころではなくなった。
わけがわからず、ベティは夜目の効くらしいリーマスに尋ねた。
「何が起こってるか見える、リーマス?」
「ジェームズが湖に飛び込んだんだ。…あ、出てきた。助けたのは足の沢山ある何か」
「足!?」
「…そういえば、ジェームズが学校に着いたらまず湖の大イカに挨拶するとか言ってたな」
と、シリウスが呆れたように言った。
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