・NOVEL(短編)・

□一歩
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あたしとみやはちっちゃい時から仲がよかった。
ずっと一緒にいて、みやはお姉ちゃんみたいな存在だった。

そう、存在だった。

「梨沙子おまたせ。」

今は違う訳で。
風呂上がりの姿なんてドキドキしちゃう訳で。

「あー、うん・・・。」

「・・・?どうしたの?」

そんな近づかれるとヤバい訳で・・・。

「なっ、なんでもないっ!!」

そう言ってちょっと距離をおいた。
すると、みやは訝しがってから隣に座った。

・・・こんなことなら泊まらなきゃよかった。

久しぶりだったからつい嬉しい勢いで承諾してしまったのだ。

「最近さぁ・・・」

「何?」

「梨沙子、変だよね。」

「・・・うえぇ!?ど、どこが!?」

「そーゆーとこ。」

少し拗ねたような顔をしてるみや。

「・・・あんま変わんないでよ。」

・・・か、可愛いっ!!

「・・・遠くいっちゃ、だめ。・・・とか言ってみたり。」

「遠くなんか行かないよ!!みやから絶対離れないし!!」

可愛いけど!そんなこと言わないでよ!
離れる訳ないじゃん!!

「はは、ありがと。でもそんなことも言ってられないよね。そろそろ妹離れしなきゃ。」

妹・・・。
・・・今言わなきゃ、離れてっちゃうよ。

「みや。」

「んー?」

この話題はみやの中で終わったらしく、雑誌を読み始めた。

「好き。」

「何急に。」

笑われた。

「真剣だよ。」

「えっ?」

「・・・愛してる。」

沈黙が続く。

「・・・本気だよ。」

「・・・わかってる。」

みやがやっと口を開いた。

「もうお姉ちゃんじゃ我慢できないよ。」

「・・・いの?」

「へっ?」

「一歩踏み出しちゃっていいの・・・?」

・・・どういうこと?みやも同じって、そういうこと?

「・・・あたしも好き、かも。」

次の瞬間あたしはみやに抱きついてた。

「みやー!もうちょー大好きっ!!」

「うわっ、梨沙子、やめっ!」


この日は一晩中みやを離しませんでした。

(これからも離すつもりないしね。)



end
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