・NOVEL(短編)・

□七夕
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今日は七夕だ。
今、私の部屋でゆうちゃんと短冊に願い事を書いている。

「ゆうちゃん何書いた?」

ゆうちゃんの短冊を覗きこもうとする。
まぁ何書いてあるかは大体想像つくんだけど。

「なっ、野中さんっ!ダメですよっ!」

すごく焦って拒否された。

「ちょっとくらい見せてよぉ。」

むっ、としてゆうちゃんから短冊を取り上げた。

「あ、あぅー・・・」

「んー、何々?」

『野中さんとずっと一緒にいられますように』

ひねりがない、ゆうちゃんらしい単純な願い。
嬉しいんだけど、たまにはもっとくさいことを言ってほしい。


「ゆうちゃーん。もっとなんかひねってよ!」

ゆうちゃんの方を見ると後ろを向いて体育座りをしていた。

「ゆ、ゆうちゃん?」

「・・・。」

この様子からすると無理矢理短冊を見たことで拗ねているようだ。

「野中さんひどいです・・・。無理矢理見たのにダメ出しするなんて・・・。」

ダメ出しした方に拗ねてたか。

――可愛いなぁ。

私の方を向かないように、後ろを向いてちょこんと座っている姿はなんとも可愛らしい。

そんなゆうちゃんに後ろから抱きつく。

「ゆうちゃんごめんね。私のも見せてあげるから。」

できる限り優しい声で囁く。

「・・・何ですか?」

『ゆうちゃんに誰も近づけさせない』




・・・・・・・。



「・・・これなんですか!?ていうか願い事じゃなくて決意じゃないですか!!」

「いややっぱこれしかないよね☆」

「ぅー・・・。・・・他の方に近づかないのは出来ませんが、なるべく野中さんの近くにいますね///」

あー・・・
ヤバい、可愛すぎる。

やっぱ私の願いは

『ゆうちゃんを独り占めする』

で決まりだね。


え?これも決意だって?
そーゆーのは気にしなくていいんだよ?
要は気持ちだから!




end
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