・短編E・

□先に進めない
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「やだやだやだやだっ」



「・・・・・・」



「やだっ、ていうか、やじゃないけどっ・・・・・・無理だよ・・・」



この子、いくつだっけ。
真面目にそう考えてしまうほど、目の前の恋人は子供みたいで。
その派手な外見からは想像出来ない純粋さだ。
その上、今年で二十歳になるとは到底思えない。



「無理って・・・・・・付き合って二年経つのに未だにキスより先に行かせてくれないこの状況の方がもも的には無理だよ・・・」



どんだけ我慢させれば気が済むんですか夏焼さん。
今まで何度、この押し倒した状況までいってお預けをくらったことか。
よく我慢してこれたな、と自分で自分を誉めてあげたいものだ。



「だって!その・・・は、はずかしい・・・でしょ・・・」



それなのにいつまで経ってもこの台詞。
恥ずかしさとももへの愛、みやが取るのはいつも恥ずかしさ。
それを受け入れてとことん待ってあげてるももは本当に偉い。

だけどもう無理。



「みやはなんにもしなくていいよ。ただ目瞑って大人しくしてて。そしたらももが全部してあげるから」



だから前に進もうよ。
このままじゃただのお友達、いや、おとももちとほとんど変わらない。

それはなんか、ちょっと、やっぱり、すごく、寂しく感じるから。



「・・・・・・本当に、なんもしなくていいの?」



いつもと違う反応。
もしかして、もしかしたらもしかするんじゃないか。



「うん・・・・・・だから、いい?」



なるべく優しく、相手が幼稚園児かのように尋ねる。
すると、その数秒後に小さくこくんと頷かれた。

ついに・・・!

跳ね上がって小躍りしたい気持ちを抑え小さく微笑む。
そして、緊張でガッチガチに固まってるみやの耳元に唇を寄せた。



「大丈夫だから、もっとリラックスして」



小さくそう言うとそれだけでビクッとされる。
それがなんとも可愛くて、このまま口づけたらどうなるんだろうという好奇心のままみやの耳に口づける。



「んっ・・・!」



小さく声をあげて縮こまるみや。
それに構わず耳へのキスを続け、だんだんと調子にのって舌で刺激を与える。
それにも期待以上の反応を見せてくれるみやの耳は、もう果実のように真っ赤で。



「ふぅ・・・」



耳から離れ一旦落ち着く。
みやがこれ以上ないってほど緊張してるから気づかなかったけど、自分も結構緊張していた。



「・・・・・・可愛いなぁ」



それでも、そんな緊張を忘れてしまうほどみやは可愛い。
今だって目をギュっと瞑って固まったままだ。

それにフッと笑って、今度は首筋に唇を寄せる。



「・・・・・・ぁっ・・・!」



首筋を唇でなぞって鎖骨まで降りる。
そこに口づけたり軽く吸ったりしてると、みやの息が浅くなってきたのがわかった。
その様子も愛しく思って、一つくらい良いかなと服に隠れそうなところを強く吸う。



「わっ・・・!」



こんなたった一つの証でみやがもものものだっていう実感が得られるとは。
初めてのキスマークに感動してると、今までずっと無言だったみやが口を開いた。



「な、なにしたの・・・?」



「んー?みやはもものって印つけたの」



「しるし・・・」



みやと目を合わせたところでちょっと違和感。
なんだか、目を輝かせてるような・・・。



「えっと・・・みやもつけてみる?」



「う、うん!」



やっぱりそういうことですか。
そういうことなら仕方ない。
ももがみやのものだっていう印を、みやがつけたいって言うなんてすごく嬉しいことで。
普段な有り得ないようなことで。

この行為を一度中断しないといけないということを除けば、こんな幸せなことはないのだけど。



「じゃあつけていいよ。あんまり見えないとこにしてね」



みやを起き上がらせて、座ったまま向き合うような体勢でそう告げる。
まだ子供のように目を輝かせていたみやはなぜかすごく悩んだような顔。

どうしたのかと首を傾げると、みやは小さく呟いた。



「どうやってやるの?」



・・・・・・・・・あぁ、そこからですか。
さすが純粋ガール。
ももが変態の極みなんじゃないかと思うくらい純粋です。
そんな外見で。



「強く吸えばいいんだよ」



「強く・・・吸えば・・・」



そう言いながらゆっくり顔を近づけてくるみや。
早くしてほしい。
ももはさっきの続きをみやの気が変わらないうちにしたいというのに。

そう思ってみやからのキスマークを待っていると、吸ったものじゃない痛みが。



「いだっ!」



「わっ!ご、ごめん!」



「ちょっとみや!噛んだでしょ!」



「ご、ご、ごめん!」



それは明らかに噛まれた痛みだった。
歯と歯で、2.3ミリ挟まれたみたいな。
吸えって言ったのに噛むやつがあるか。



「もう!もっと優しくしてよ!」



「つ、次はちゃんとやるからっ」



反省はしてるようなのでもう一度挑戦させてやる。
大人しく待ってると、今度はほんっとーーに優しく、むしろ触ってるだけなんじゃないかってくらい弱く吸われた。



「・・・・・・ねぇ、強く吸うって言ったよね?」



「そうだった!も、もう一回!」



ももの指摘に、顔を赤くさせながら慌てるみや。
それが可愛くて呆れたため息と共に笑みも溢れる。



「今度は上手くやってよね」



「うん・・・・・・こう?」



「まだ弱い」



「こ、こうか!」



「っ・・・だから噛むな!」



もう続けられる雰囲気じゃなくなってしまったけど、これがもも達なのかもしれない。
明日またリベンジするぞ、と誓いながら今はこの状況を楽しむことにした。



end



ノノl*∂_∂'ル<ついたっ!

ル;’ー’リ<やっと?(始めてからもう30分は経ったよ・・・)

ノノl*∂_∂'ル<うん!あー疲れた、寝よっか

ル;’ー’リ<(やっぱりそうなりますよね・・・)おやすみ・・・

ノノl∂_∂'ル<おやすみー(・・・・・・あれ?なんかしてた気が・・・・・・まぁいっか)

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