・短編E・

□小悪魔なんかじゃない
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普段は甘えん坊で。

可愛い妹みたいで。

頭は良いけど、やっぱり子供なんだなぁと思わせる行動ばかり。



それなのに、なんでこういう時だけ。



「みや・・・気持ち良い?」



「ぅるさいっ・・・!」


愛理にされるってだけでも有り得ないのに、変なこと言ってくるし、いつもと違う雰囲気出してるし、手加減ないし。
あたしの恥ずかしがってる姿を見てくすくす笑ってる愛理は、間違いなく小悪魔。
いや、むしろただの悪魔。



「・・・・・・今、失礼なこと考えたでしょ?」



なんでわかるんですか。
まさか本当に悪魔なんじゃ。

そんなバカげたことを考えてると、一瞬ニコッと笑う愛理。
可愛いな、と思ったらすぐ愛理の唇が近づいてくる。



「なに考えてたの?あたしとしてる時に余計なこと考える余裕あるんだ?」



耳元に近づいた唇から発せられるいつもより低い声。
ちょっと怒ったような、拗ねたような。

それに気を取られてると、ゆるゆると中で動いてた指がいきなりグッと奥に入れられた。



「やぁ、んっ・・・あぁっ・・・!」



そのまま激しくかき回されて、緩やかな快感に慣れていたあたしは思わず果ててしまった。
無駄に入ってた力が抜けて、愛理の首に回してた腕もシーツに投げ出す。
だけど愛理が退いてくれなくて、抜いてくれなくて。



「愛理・・・」



もう抜いて、と力の入らない手で愛理の腕を掴むけど、一向に言うことを聞いてくれる気配がない。
嫌な予感を感じながら愛理の表情を伺うと、さっきのようにニコッと笑っていた。

可愛いな、と思うのも束の間。



「まだ、余裕あるんだよね?」



動き出す指。
果てたばかりの体には、耐えられないような快感。



「やっ・・・待っ・・・!」



あたしの抵抗なんて全く気にせず、愛理の指は激しく動く。
遠慮なく奥に入ってくるそれに腰が引けるけど、愛理が逃してくれるはずもなくて。



「やだっ・・・ぁ、いりっ・・・!」



「こんなに締め付けてるのに?」



そう言ってずっと微笑みを浮かべたまま、あたしの首筋に唇を寄せる愛理。
嫌だ嫌だと首を横に振るけど、そんなの関係なしにそこを強く吸われた。



「あたしのこと以外、なーんにも考えられないようにしてあげる」



さっきより激しく動かされる指。
もうどうしようもなくて、何も考えられなくて、愛理の言う通り愛理のことしか考えられなくて。



「いっ・・・あいりっ・・・!」



「いいよ、イって」



いつの間にか元の位置に戻っていた腕が愛理をギュっと抱き締める。
ビクビクっと痙攣したあたしは、意識が遠ざかるのを感じて目を瞑った。



―――――――――――――



目が覚めるともう朝だった。
外は快晴で、小鳥が爽やかに鳴いていて、隣にはいつもの通り可愛い恋人が寝ていて。

だけど思い出すのは昨日の行為。

何か問題がないかチェックしないと。
そう思い、散らばっていた衣服の中からTシャツだけ拾い上げ着用。
洗面所に向かう。



「あー・・・・・・もう・・・やめろって言ってんのに・・・」



鏡を見た瞬間映り込んだ赤い印にため息。
こんな目立つとこに付けて人に見られたらどうするんだ。
困るのは愛理じゃない、あたしだ。



「おーはよっ」



明るい声と共に後ろから抱きつかれる。
呆れながらも鏡越しにそいつを確認すると、いつもみたいなふにゃふにゃ笑顔。



「おはよ・・・・・・これ」



「あ・・・・・・ごめん、なさい・・・」



軽く挨拶を交わし、赤い印を指差して咎めるように声を出すとしょんぼりされる。
そういう表情したいのはこっちだ、と思いながらも可愛いと思っちゃう自分は相当バカなのかも。



「いや・・・今度から気をつけて」



「うんっ!」



そうは思うものの甘やかしてしまうのは仕方ない。
呆れたように笑ってから頭を撫でてやると無邪気に笑う愛理。

その笑顔は天使と言ってもいいくらいの可愛さで。
でもやっぱり昨日のことを思い出すと悪魔のようにも見えて。



とりあえず言えるのは、この子は小悪魔なんて生温いものじゃない、ということだ。



end

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