・短編B・

□勢いの恋
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千聖には好きな人がいる。



「あー、Buono!のライブ行きたい・・・・・・。」



いつもの楽屋。
今いるのはなっきぃと舞ちゃん。

千聖の言葉に反応したのはなっきぃだった。



「Buono!のライブに行きたいんじゃなくて、雅ちゃんに会いたいんでしょ?」



う・・・・・・まぁ、そうだけど・・・。
だって他に会う方法なんてないんだもん。



「なっきぃ、千聖にはそれ以外会う方法ないんだよ。」



舞ちゃんが千聖の言いたいことを言ってくれる。
そしてなっきぃがそれを聞いて笑いやがった。



「あんなに好き好き公言してんのに?」



「うるせー中島!」



あんなに好き好き公言してんのに、雅ちゃんてば鈍感すぎんだよ!
前より可愛がってくれるようにはなったけど、他の年下メンバーに対する態度と一緒なんだよ!



「ただいまー。」



「おじゃましまーす。」



千聖がなっきぃに飛びかかると同時に開いた楽屋のドア。
そこには愛理とりーちゃん。

・・・・・・・・・ってことは!



「りーちゃん!」



「えっ?はい!」



なっきぃを一発軽く殴ってから、勢い良くりーちゃんを呼ぶ。
りーちゃんはつられて勢い良く返事をした。



「ベリーズも今日っ「楽屋にみやいる?」



「みや?いると思うけど。」



千聖の言葉を遮って、舞ちゃんがりーちゃんに聞く。
それは千聖が一番聞きたかったこと。



「千聖。」



「は、はいっ!」



舞ちゃんはりーちゃんにお礼を言ってから千聖を呼ぶ。
その呼び声に気をつけ。

ドアを指差して舞ちゃんが一言。



「・・・・・・行け。」



「舞ちゃんありがと!」



敬礼一つ残して、千聖は楽屋を飛び出した。

怒られない程度に走って、りーちゃんから聞いた楽屋に向かう。



「待ってろ雅ちゃんっ!」



「千聖?」



「うぉわっ!!」



千聖が小さく叫んだ瞬間に、後ろから聞こえてくる声。
しかも、その声の持ち主は・・・・・・。



「そんなに急いでどーしたの?」



「み、みみ雅ちゃんこそっ!こんなとこでっ!」



そう、今会いに行こうとしてた人。
慌てて言葉を返すと、雅ちゃんは笑った。



「千聖慌てすぎ。」



・・・・・・やっぱ、可愛い。
会う度に好きになってると実感する。



「あたしはジャンケン負けてパシリ。」



最悪だよー、と言いながら雅ちゃんは持っていた缶を持ち上げる。
その数3本。



「あはっ!」



なんか変な緊張が解けて楽しくなってきたぞ。

ついつい笑いを零すと、雅ちゃんがふざけてムッとした。



「笑うなバカ。」



「へへっ!ごめんね。」



そう謝ってから、雅ちゃんが持ってる缶を2本奪う。



「お詫びで持ってあげる。」



「マジで?千聖さいこー。」



口実を作って雅ちゃんについていくことに成功。
隣を嬉々として歩く。



「そーいえばさ、こないだ『寝る』でなっきぃに、あたしのこと好きなんでしょって言われてたね。」



雅ちゃんが苦笑して言う。

あぁ、こないだのなっきぃゲストの回か。
確かに言ってた。

もしかして、千聖の想いが伝わった?



「違うならちゃんと否定しなよ?」



・・・・・・・・・おい。
え、うそー・・・。
あんなに好きって言ってんのに、なんでわかってくれないんだ。



もう、バカ!



「違くないって!千聖は本気で雅ちゃんが好きなのっ!」



「へっ?」



ポカンとする雅ちゃん。
もう勢いで言っちゃったし、ここで理解させとかないと。



「本気だから!ちゃんと千聖の気持ちも考えてね!」



ちょうどベリーズの楽屋の前についた。
持っていた缶を雅ちゃんに返して℃-uteの楽屋に戻る。



その途中で思い出す。

さっきの言葉で、雅ちゃんが少し赤くなってたことを。



千聖の片想いはまだ始まったばかり。



end

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