・短編B・

□寝起きの幸せ
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なんとなく目が覚めた。

時刻は午前4時。
隣にはみや。
気温は・・・・・・うん、ちょうどいい感じかな。


どうでもいいことを考えながら上半身を起こす。
こんな変な時間に起きたのになんだかスッキリしてる。



「ぅーん・・・。」



二度寝が出来そうにない。

このまま退屈してないといけないのかな、と思いながら隣でスヤスヤ眠るみやを見た。



「・・・・・・めっちゃ気持ちよさそうに寝てるし。」



起こす気なんて全くおきないじゃないか。

髪を撫でてあげると、なんか顔をしかめられた。
なに、寝てる時もツンデレさんですか。
もも拗ねちゃうぞ。

そう思って、みやの鼻を軽くつまむ。



「ん・・・・・・もも・・・?」



あ、起きちゃった。
自分でやった訳だけど、なんかちょっと罪悪感。



「ごめんね、起こしちゃって。」



「ん・・・だいじょぶ・・・・・・。」



・・・・・・すごい眠そう。
舌っ足らずな感じが、寝起きーって表してて可愛いです。

そんなみやを見て、寝かさないほどももも意地悪じゃない。
寝ていーよって言おうとしたら、みやが上半身を起こした。



「どしたの?寝ないの?」



「だって・・・もも、起きてるし・・・・・・。」



「ふふ、何それ。」



「なんかももといっしょにいたい・・・・・・。」



目をこすりながらみやが言う。
なんか半目だし、ふらふらしてるし、寝ればいーのに。

・・・・・・・・・でもそんなこと言えない。
だって、正直今の言葉めっちゃ嬉しい。



「・・・・・・可愛い。」



思わずそう呟いてから、目をこすってる手を取って引き寄せる。
無抵抗で引き寄せられて、ももの腕の中に収まるみや。



「んー・・・・・・もも、いー匂いする・・・。」



そう言いながら、みやはももの首らへんの匂いを嗅ぎ始めた。



「みや、くすぐったい。」



ももは苦笑しながらみやの髪にキス。
すると、みやはももと目を合わせようと少し身じろぐ。



「へへ・・・みやもくすぐったい。」



へらーっと笑いながら、そう言うみや。



・・・・・・・・・めっちゃ可愛い。



ももと二人の時は自分のこと『みや』なんて言わないのに、寝ぼけてるからか普通に言ったし。

そういうの反則だと思うんだけど。


でも寝ぼけてるみやにそんなももの思いは通じなくて。



・・・・・・・・・襲っちゃうぞ。



「みや、もう寝れば?」



寝起きみやは可愛くてそそられるけど、やっぱり寝ぼけてるみやを襲うなんてダメだと思うし。

後で怒られるのもやだし。

そうやってちゃんと考えて言ったのに、みやはなぜかしかめっ面。



「・・・・・・そんなに寝かしたいんだ。」



うつむきながらグーで軽くももの肩を押すみや。

寝かしたいっちゃ寝かしたいけど、それはみやのためだ。
・・・・・・・・・や、遠まわしに自分のためでもあるけど。



「そういう訳じゃないけど・・・・・・。みや眠いでしょ?」



「・・・・・・・・・うん。」



そう返事をしながらまた目をこするみや。
不服そうな顔をしてるけど、なんとなく納得してくれた感じ。



「じゃあおやすみ。」



笑いながらまたみやの髪を撫でてやると、みやは座ったまま気持ちよさそうに目を瞑った。
みやが横になるまで見届けようと思って、その姿を眺める。

そんな訳で、ちょっと気を抜いてた。



だからみやが抱きついてきて、一緒に横に倒れ込もうとするのを防ぐのなんてできなかったんだ。



「ちょ・・・みやぁ・・・・・・。」



「・・・・・・いっしょに寝ればいいじゃん。」



ももの困った声なんかお構いなしに、超近距離でそう言うみや。
もう寝れる体制に入ってるらしく、声はふわふわと浮いている。



「もも眠くないんだってぇ・・・・・・。」



この体制でみやだけに寝られたら正に生殺しだ。
だからそれだけは避けたいというのに・・・・・・。



「・・・・・・・・・寝よ・・・?」



もう限界なのか、最後の言葉を振り絞って出した感じのみや。
ももを離すつもりはないらしく、ももの背中に回っている腕にはギュッと力が入っている。



・・・・・・・・・もういいや。



このみやの腕は、力的に離そうと思えば離せる。
だけど、普段こんなことをしないみやが自分からこうしてくれたのだ。



これを無理矢理離すなんて損だ。



そう思って、既に眠っているみやのおでこにキスを落とす。



みやは今度こそ、目を覚ましそうになかった。



end

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