・短編B・

□微妙な駆け引き
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「あ、愛理・・・・・・さ、さ、さそっ・・・誘うってどーすんの・・・・・・!!」



あたしが真っ赤になりながらそう言った時の愛理の顔を、あたしは一生忘れないだろう。





「で、何があったの?」



やっと落ち着いた愛理が、呆れたように聞いてくる。
inファミレス。

相談があるって言ったらすぐ来てくれた愛理に感謝だ。

だって、あたしとももが付き合ってるのは愛理しか知らないし(色々あって舞美も知ってるけど)。
ベリーズのみんなになんか言えるはずがない。
絶対からかうもん、あいつら。



「いや、あの・・・えっと、色々ありまして・・・。」



「ちゃんと言ってくれないとわかんないよ?」



もごもごと話すあたしに、苦笑しながら愛理が言う。


そんなはっきり言えるもんじゃないんだって!!


とか思いながら話し出すあたし。



つまりこういうことだ。

一週間前にももとシた後にいきなり、

『次する時はみやが誘ってね。みやが誘ってくるまでシないから。うん、みやの誘い受けとか前から見てみたかったんだよね〜。』

とか言いだしたのだ。

でもどうせももが我慢できなくなるだろうとたかをくくっていたあたしは、一週間たっても全く手を出そうとしないももに焦ってきたって訳。



「・・・・・・・・・みやとももってするんだ。」



開口一番にそんなことを言う愛理。



「なっ・・・・・・!!」



また真っ赤になったあたしを見て、愛理は急いで訂正しようとする。



「あっ、違くて!ほら、みやが嫌がるかと思ってたから。」



・・・・・・・・・や、最初はまぁイヤだったけど。
ももがシたいって言うならしょうがないかなって。

それを言うと、愛理はニコッと笑って口を開く。



「見かけによらずちゃんと恋人してるんだね。」



「あー・・・うん、まぁ・・・。」



あたしが恥ずかしそうに答えると、愛理はまた笑ってから本題に入った。



「それで、誘うってどうすればいいかって話?」



「う、ん・・・。愛理だったらやったことあるかなぁって・・・・・・。」



だって舞美でしょ?
自分から手出すように見えないし、いつも愛理が誘ったりしてるっぽいじゃん。

そんなことを思ってると、愛理が少し困ったように話し出す。



「えーとねぇ・・・誘い方っていうのはまぁなんとなくわかるけどね、あたしはしたことないよ?」



「えっ?ないの?」



「うん。だってあたしがする方だし。」



・・・・・・・・・・・・うぇえええっ!!!
あ、あ、愛理がするのっ?
あの天然体力バカの舞美にっ?



「ま、マジ・・・?」



「あはは、うん。だって舞美ちゃんって無意識に誘ってくるんだもん。」



まぁ確かにあの人誰に対しても無防備だけど・・・・・・。
そういえば、最近愛理がももに似てきた気もする。
それは舞美のせいだったのか・・・。



「じゃあ舞美にきいた方がいいかな?」



「それはやめときな。」



舞美がいつも誘ってるっていうなら舞美のが良いのかな、と思ってきいたら即答で返された。
しかも笑顔のままビシッと。



「ほら、誘ってくるっていっても無自覚だから。それに舞美ちゃんに相談してもどーせ『ガーっとやればいいんだよ!!』くらいしか言わないから。」



自分の恋人のことをこんなボロクソ言う愛理。
しかもやっぱりずっと笑顔のままだ。



「まぁでも、そういうとこも可愛いんだけどね。」



あ、のろけた。
本当にラブラブだなぁ、愛理たちは。
・・・・・・・・・別に羨ましくないけどさ。



「へぇー・・・。」



「うん、とりあえずさ、行ってきなよ。」



拗ねたように相槌をうつと、急に愛理がそんなことを言う。
何の話だ?



「どこに?」



「もものとこ。今日会うんでしょ?この間ももが嬉しそうに話してたよ。」



「・・・・・・・・・んー・・・」



「誘うとか無しに、もものこと好きーって伝えればみやの悩みは全部解決すると思うよ?」



なんでそんな自信満々なんだ、愛理は。

・・・・・・。
しょうがない。
行ってみればなんとかなるかもしれない。



「・・・・・・行ってくる。」



「うん!今日はあたしが払っておくから。」



伝票を持ちながらヒラヒラと手を振ってそう言う愛理。



・・・・・・愛理って本当に高1なのかな。



そんなことを思いながらお礼を言って、あたしはももの家に向かった。



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