・短編B・

□仕方がない結果
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そろそろさ、ももも限界だったりするんだよね。





「もも、帰んないの?」



不満そうなみやがももの教室に現れる。
最後の授業が終わってから随分時間がたってたから、周りに人がいる様子はない。
校庭からは部活をやってる声が聞こえるけど。



「あ、みや。」



「なにその反応、ももが教室まで迎えくるって言うから待ってたんじゃん。」



ももが座ってる近くの椅子にドカッと座って睨んでくるみや。
まぁ、今のところ計画通りかな。



「うふふ、ごめんね。」



なにその笑い方、と呆れたようにももを見てからみやは携帯をいじりだす。
その内にももはみやにバレないよう、ポケットからあるものを取り出した。
これが今回の計画のカギだ。

そのあるものを握りしめて、みやの後ろに立つ。



「みーやっ。」



「んー。」



携帯をいじるのを止めないみや。
こんなに可愛い恋人が可愛い声で呼んでるというのに。



「誰とメールしてんのー。」



ももがそう聞くと、みやは軽く言いにくそうな雰囲気を出す。
その反応は・・・・・・。



「・・・・・・梨沙子。」



・・・・・・みやってばか正直だよね。
その名前出したらももが機嫌悪くなるの知ってるのに。



「没収。」



「ちょっ・・・!」



それともわざと?とか思いながらみやの携帯を取り上げる。
その携帯を自分のポッケに入れて、握りしめていたあるものを口に含む。
そしてそれをみやに口移しで飲ませた。



「・・・・・・っ、ん・・・!」



口移しとか簡単に言ったけど、実は結構難しい。
ただのキスでさえ抵抗するみやに、口移しで薬を飲ませるということなんだから。
深く口付けて、でもその物体がももの方にこないように押し込んで。



「っ、はぁ・・・っ!・・・・・・けほっ、なに・・・飲ませたのっ!」



はい、完了。
みやは怒ってるけど、もう心配はない。

だってあれは、



「ん?媚薬。」



シレッと答えるももに、信じられないという表情をするみや。

そういえば、効果が出るまでどのくらいかかるんだろうか。



「なにそれっ、そんなのどこで手に入れたのっ?」



椅子に座ってももを見上げてるみや。
いや、見上げてるというか睨んでるんだけど。
こういうのって新鮮で良いよね。



「通販。」



そんなみやの頭を撫でながら立っているもも。

実は今回初めて買ってみたのだ、これを。
効果によってはこれからも買い続けたり。



ていうか、いつ効果出るのかなぁとか思ってたんだけど、もしかして今もう効いてるのかも。

だって、みやが逃げ出そうとしないで座ってる。
もう効果が出ていてあんまり力が入らないのかもしれない。
後、なんか顔が紅潮してきてるし息もちょっと荒い。

うん、即効性っていうのは本当なんだね。



「みや。」



「・・・な、にっ・・・!」



我慢してるように体を縮ましてるみや。
そんなみやの腕を掴んで、指先からゆっくりと這い上がるように自分の指先でなぞらえる。



「・・・ぁ、っ!」



それだけでこの反応。
・・・・・・買いかな、これは。



「きもちーの?」



みやの腕をなぞっていた指先を、肩まで持っていってそう聞く。
そして、立ってるままの体勢じゃ色々ツラいので向かい合うような形でみやの膝に座った。



「っ、・・・よく、ないっ・・・!」



「ウソついちゃダメ。」



みやの肩を掴んで、耳元に口を寄せて囁いた。
そしてそのまま耳を舌で攻め立てる。



「ゃ・・・!ほんっ、と・・・だか・・・ぁ、らっ」



そう言ってももにギュッと抱きつくみや。
うん、確かにいつもの気持ちいい時の反応と違うかも。



「じゃあなに?」



耳を攻めていた舌を首筋まで持っていき、あまがみしたりする。
そんな弱い刺激にも、みやはびくびく反応していてかなり楽しい。



「はぁ、んっ・・・!く、るしっ・・・!」



そう言いながら更に抱きついてくるみや。
ちょっとこれは動きにくい。



「くるしっ・・・ぁっ・・・のっ!」



「・・・・・・それってもしかして、気持ち良すぎてってこと?」



「・・・・・・ぅ、んっ・・・!」



動きにくいと思い、みやを離そうとしたところでそう言われる。
ももはみやの膝の上に乗っているので、必然的に上目遣いをされることになって。
いつもより色気たっぷりなみやに、ももはノックアウトされた。



「・・・・・・もうさ、前戯いらないよね。」



そう言って鎖骨にキスマークを一つつけ、みやのスカートの中に手を入れる。
そんなももに全く抵抗しないみやが新鮮。



「抵抗しないの?」



みやの唇に軽くキスを落として笑いながら聞くもも。

右手はみやの頬に寄せて、左手は中心を焦らすように下着の上からゆるく撫でる。



「・・・・・・っ・・・ぁ、やっ・・・!!」



「ん?」



「は、や・・・っ・・・くっ!」



ももの肩口に顔を押しつけながら、おねだりをしてくるみや。
本当みやって焦らすのキライだよね。



「しょーがないなぁ・・・。ちゃんとおねだりできたエッチなみやにご褒美。」



下着の中に指を入れる。
その瞬間、指にまとわりつくみやの愛液。



「・・・・・・これは、すごいね。」



「・・・っ、言わなくていいっ・・・!」



「うん、ごめん。」



わざわざ言うと多分みやは拗ねてしまうだろう。
拗ねても行為に支障はないけど、そのあとが大変だからね。
そう思って笑いながら謝った。

そしてみやの中心を軽く擦る。
すると、みやの体が今まで以上に反応して声が大きくなった。



「くっ・・・!あっ、ん・・・!あぁあああっ・・・!!」



クタッとうなだれて肩で息をしているみや。

あれ、もしかしてこの反応って・・・・・・。



「・・・・・・もしかして、もうイった?」



「んっ、はぁ・・・!」



まだちょっと触っただけなのに・・・。
媚薬ってこんなに効くもんなんだね。
桃子、勉強になりました。



「みや、おしまい?」



まだ愛し足りないんだけど、というようにみやに聞くもも。
まだ息が荒いみやは、またももにギュッと抱きついてきた。



「はぁっ・・・はっ・・・、足り・・・ない・・・。」



「へっ?」



絶対終わりって言うと思ってたのに。
まだ媚薬の効果がたっぷりと残ってるらしく、普段なら絶対言わないことを言うみや。
なんか、このみやにハマっちゃいそうだ。



「もっと、シてよ・・・。」



・・・・・・あぁ。
ごめん、みや。
もう止まりそうにないや。





―――――――――――――





「・・・・・・はぁ、最悪。」



激しい行為がやっと終わり、気づいたら19時だった。
媚薬の効果も切れてみやが正気に戻って、まだ数分しか経ってない訳だけど。



「・・・・・・みや?」



「・・・・・・ん。」



まぁ、機嫌悪いことこの上ない。
薄々予想はついてたけどさぁ。



「怒んないでよぉ。」



「・・・・・・・・・なんも事情わかんない状態でいきなり変な薬飲まされてなんか有り得ないほど襲われて怒らない人がいたらあたしはその人を見てみたい。」



息継ぎなしで淡々と言ってくるみや。
ももとのキスで養われた肺活量かな。

そんなバカなことを考えながら、みやが座っている机の前にしゃがむ。



「みやもさ、悪いんだよ?」



「・・・・・・はぁ?」



自分が一番可愛く見えるような角度で言うけど、みやはなんも感じないらしい。
意味わかんないという表情で見てくる。



「だから、前にシたのいつ?」



「・・・・・・一ヶ月くらい前。」



「うん。そんなに禁欲させるのも悪い。」



こんな色気たっぷりなみや相手に、ももがそんなに我慢できたことがすごいし。
少しは褒めてほしい。

・・・・・・や、結局我慢できなくて媚薬まで使っちゃった訳だけども。



「そ、それはっ・・・!・・・・・・まぁ、ごめん・・・・・・。」



反抗しようと一瞬体を乗り出したみやだけど、考え直したのか消沈する。
こんな屁理屈に、素直に謝っちゃうみやが可愛い。



「・・・・・・帰ろっか。このままいたらまた襲っちゃいそうだし。」



「それはもう本当にやめて。今、既にまともに立てないんだから。」



そう言いながら机にうつぶせるみや。

そうだった。
もうみやの腰は限界なんだった。
・・・・・・どうやって帰ろう。



「我慢するけどさ・・・・・・ももの肩借りて帰る?」



「なんかそれちょー不安。」



うわぁ、すごい嫌な顔。
清々しいくらいに嫌な顔してますよ、この子。



「あれ?ももまだいたの?」



もうそれしかないよね、とか思ってると部活が終わったらしい舞美が教室に入ってきた。
・・・・・・うー・・・まぁ、しょーがないか。



「ちょっとね。それよりさ、頼みたいことあるんだけど。」



「うん?」



チラッとみやを見ると、気恥ずかしいのか少し赤面している。
そんなみやに苦笑してから、ももは口を開いた。



「みやをさ、家まで運んでくれない?」



「えっ?あ、いや、別にいいんだけど。どうかしたの?」



いいんだ。
さすが舞美。
まぁ、ここからはももの得意な騙しかな。



「みやね、ちっちゃい時から腰が悪いんだ。そんで今ちょっと調子悪くて歩けなくなっちゃって・・・・・・。」



舞美ならこんな感じで信じるだろう。
それにこう言っておけば、これからまたこんなことがあった時便利だしね。



「そうなんだ・・・・・・。もう任して!そんな風になった時とかいつでも呼んでいいから!!」



・・・・・・さすが舞美。
いい人すぎてちょっと心配になるけど。
まぁ、とりあえず運んでもらおうか。



「じゃあお願いね。ももも一緒に行くから。」



「・・・・・・お願いします。」



「うん!任せて!」



そう元気よく返事をして、みやの座ってる席の近くに行く舞美。
すると、なんか困ったような顔をする。



「どーしたの?」



「うーん・・・・・・おんぶって腰に悪そうだよね・・・。」



「へっ?」



「みや、ちょっとごめんね。」



ポケッとしているみやの膝を抱え、背中に手を回して持ち上げる。

・・・・・・お姫様だっこだ。



「ちょっ、矢島先輩っ!」



「あ、ちゃんとあたしの首に腕回さないと危ないよ?」



そう困ったように言われたら、みやも断る術がなく。
恥ずかしそうに舞美の首に腕を回した。



「・・・・・・最っ悪。」



「じゃあ行こっか!」



ももの小さな呟きに気づくことなく歩き出す舞美。
しぶしぶ舞美について歩いていたら、途中で舞美が止まった。



「あっ・・・・・・。」



そう声をもらしたっきり動かない舞美が心配になり、ももは舞美の顔を覗き込んだ。



「どーしたの?・・・・・・や、本当に。」



そこには顔を真っ赤にした舞美がいた。
みやに視線をやっても不思議そうな顔。



「い、いや・・・なんでもないっ・・・!」



「えー?・・・・・・あ。」



わかっちゃった。
舞美が赤面してる訳。
だって舞美の視線が一点に集中してるんだもん。



「え、なに・・・・・・っ!もも!!」



つまりみやもわかっちゃう訳です。
そう、最初の方でみやの鎖骨にキスマークつけちゃったんだよね。



「いや、大丈夫っ・・・!あたし、なんにも見てないから!!」



そういう訳で、この帰り道は誰も得をしないものとなった。

ももはみやをお姫様だっこしてる舞美に嫉妬して、みやは舞美にキスマークを見られて恥ずかしくて、舞美はみやのキスマークを見つけちゃって気まずくて。


その微妙な雰囲気のまま、ももたちはみやの家に行ったとさ。



あ、ちなみに。
その嫉妬を糧に、ももはまた媚薬を使ってみやを・・・・・・。
まぁ、また禁欲させられたのは言うまでもないよね。



end

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