・MAIN(二次版権)・
□本心
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「・・・よぉ。」
「珍しいわね。あなたから来るなんて。」
本当はすごく驚いていたんだけれど、顔には出さない。
「・・・別にいーだろ。」
なんでふてくされているのかしら。
何も言わないで2人共突っ立っていると、
「・・・入れてくんないの?」
痺れを切らしたらしい。
「どうぞ?炎雪もいるけど。」
「・・・いつもいるだろ。」
そう言って遠慮なく部屋に入ってくる。
「何か飲む?」
「いらない。」
「にく。」
ちょっと・・・。炎雪には聞いてないんだけれど。というかそれより。
「炎雪、肉は飲むものじゃないわ・・・。」
――――――――――――
あの後会話もなく一時間くらい過ごした。
玲は何をしにきたのかしら。
今、玲と炎雪は2人でレーシングゲームをしている(私は読書)。
言葉は通じないので無言でやっているのだけれど、この姿を見ているのは結構和む。
あ、玲が負けた。
炎雪が誇らしげに玲を見る。
頭を抱えて結構本気で悔しそうにしている玲。
・・・この2人、なんか変な友情芽生えてないかしら?
当初に比べると全く違うんだけれど。
ゲームの電源を切る2人。玲が片付けを始める(多分雰囲気で、負けた方が片すという決まりになっているのだろう)。
『散歩に行ってくる。・・・瞑。たまにはあいつに感情を伝えてやれ。』
そう言って玲の方を見る炎雪。
こんなことを言う炎雪を見る日がくるなんて。丸くなったものね。
・・・まぁ丸くなったのは私もなんだけれど。
炎雪が出て行ったのを確認し玲に近づく。
「・・・なんだよ。」
ずいぶんと攻撃的な態度。
「今日は来たときからそんな態度ね。」
「・・・。」
今度は黙ってしまった。何が言いたいのかわからないわ。
「どうしたの?」
玲に視線を合わせるため膝をかかえてしゃがみこみ、精一杯優しい声で言う。
「・・・あたしの事、どう思ってる?」
体育座りをしながら恐る恐るというように聞いてくる。
「子供っぽい。バカ。犬。」
にっこりと笑ってそう返す。
「っ!!」
ショックを受けたような顔で下を向く玲。
「本当バカみたい。」
前から玲を抱きしめる。
「好きじゃない人は部屋に入れないし、こんなふうに抱きしめたりしないわよ。」
「・・・炎雪は?」
また恐る恐る聞いてくる。もっと怒りながら言ってくる方が扱いやすいのだけれど・・・。
「ここは炎雪の部屋でもあるのよ?そんなことを言うならあなたはどうなの?祈さんは同室じゃないのに入れてるじゃない。」
「さっ、紗枝は違うだろ!!」
祈さんの名前を出すと玲はすぐムキになる。
「何が違うのかしら?」
やっと顔を上げた玲をしっかり見つめながら聞く。
「・・・紗枝はっ、違う・・・。」
「本当に子供。自分の欲求ばかりね?」
今度は傷ついたような顔で下を向く。
「あたしは・・・瞑子より年下で・・・余裕もなくて・・・ガキだけど、」
絞り出すような声で言う。一回息をついて言葉を吐き出す。
「誰よりも瞑子が好きだ・・・。」
縋るような目で私を見る。
いじめるのもここまでにしてあげましょうか。
「・・・そんな心配しなくても大丈夫よ。」
本当にこれだけは言えるわ。
「私はあなたが思っている以上にあなたを愛しているから。」
顔を真っ赤にしてまた下を向いた玲の頭を撫でる。
本当に私は玲に依存している。自分でも驚くくらい。
普段あまりそういう行動をとらないのは、一回それを知ってしまうともう一回、もう一回、次、次とどんどん欲求が深くなってしまうから。
玲の顎をつかみ上を向かせる。ゆっくり口づけ、唇を味わう。
そのまま舌で唇をなぞり口内へ侵入する。
「・・・ふぁっ、んっ、」
時々聞こえてくる玲の甘い声に頭がくらくらする。
そして玲の口内を充分侵してから唇を離す。
ほら、また私はもっとあなたを欲しくなる。
end.